美的の東芝白物家電買収、得なのか損なのか
経営再建に取り組む日本の東芝だが、新たに7件の不正会計問題が浮上、同社の経営状態はさらに悪化するも、中国の美的(メデア)が東芝の白物家電事業の買収に乗り出すこととなった。時期を同じくして、台湾の鴻海(フォックスコン)が買収計画を進めるシャープも大きな経営難の渦中にある。
報道によると、東芝は税引き前利益で58億円水増しし、2015年上半期(4-9期)の報告では修正を加えたもののその詳しい内容は公表されなかった。
筆者が東芝中国の関係者に連絡したところ、「現時点ではこれに関する公式発表はない」とのことだった。実際には、東芝は昨年2月の時点で、第三者委員会の調査によって2008年から2014年末までの間に1562億円の不正会計があったことが発覚しており、この額は5650億円の税引き前利益の約30%に上る。
偶然にも、東芝の不正会計が暴露された日と、中国の白物家電大手の美的が東芝白物事業の買収合戦を展開していると報じられたのはたった1日違いだった。報道によると、東芝は全額出資子会社で主に東芝の白物家電を担う東芝ライフスタイル社のほとんどの株式を美的に譲渡、交渉は夏までに成立する可能性があるという。つまり、美的の買収対象は大きな経営難に直面する企業ということだ。
注目を集める「フォックスコンの恋」も同じような状況にある。シャープは先月、株式発行などによるフォックスコンからの調達額は約4890億円になると発表、交渉成立後、フォックスコンはシャープ株式の65.86%を所有する筆頭株主となる。シャープも同じく経営難に直面する日本企業で、データによると、同社の2015年4月-12月期は1083億円の赤字で、2015年度は巨額の最終赤字になる見込みとなっている。
この2社の買収にまつわる多くの赤字経営報道は、買収側が買収に際し故意にスキャンダル報道を生み出し、それにより買収コストをできるだけ下げようとしている可能性があるとの見方を示す業界関係者もいる。
中怡康家電研究専門家の左延鵲氏は、「この2社の買収で中国企業にとっての最大のメリットは、中国が今後よりグローバルな技術研究開発の実力をつけ、委託製造大国といったイメージを払拭し、海外市場に進出する際により大きなブランド価値を持てるようになるという点にある。率直に言って、中国企業による海外企業買収の最も直接的な目的は、最先端の技術を確立し、知名ブランドを獲得し、それに乗じて海外市場に進出することである」と指摘する。
しかし、中国企業が海外企業を買収する際には大きなリスクを伴う。「海外企業のM&Aの後、多くのブランドや現地のルートの整合は将来的な難所となり、とりわけ多くのブランドの連動した発展を実現するのは非常に困難で、発展と同時に互いに差し支えのない関係を維持することが肝心要となる。そのため、海外進出に際しては結果を急がず、順を追って事を進めていかなければならない」と専門家は警鐘を鳴らす。
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