元宵節の基礎知識(2)| “団子”をめぐる恒例の「南北対決」。さて、“円く”収まる?
■所変われば……日本は「東西」、中国は「南北」
「お餅は四角が普通でしょ?」「“どん兵衛”はやっぱり昆布ダシのバージョンじゃないと……」「卵焼きが前だなんてちょっと変じゃない?」……そんな食文化をめぐる日本の“東西対決”はおなじみですが、中国ですと“南北”の違いをテーマとした文化比較が活発で、しばしば論争になることさえあります。
▲日本におけるお雑煮の分布図。角が立つのを避けて丸く収めるのが関西風?
画像出所:京都地主神社|kyoto-jishujinja
■「湯圓」と「元宵」のファジーな境界線
本日2月26日(旧暦1月15日)は春節のフィナーレを飾る元宵節です。その象徴と言ったら「灯篭(ダンロン)」と「湯圓(タンユェン)」。湯圓はもち米を原料とした団子が入ったスープですが、日本でいえば正月に食べるお雑煮に相当する、シンボルチックで重要な食べものだと言って差し支えないでしょう。
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湯圓は大きく分けて2種類。甘いタイプとしょっぱいタイプがあります。甘いタイプの湯圓は、ゴマやピーナッツペーストを使って作ります。一方、しょっぱいタイプの湯圓は、いわば中華版の“お雑煮”です。具が入っていない団子を豚肉や野菜を入れたスープの具材として使います。
……と、ここまでは台湾人ユーチューバーによるネット解説の受け売りです。何度も「湯圓」という呼称を使い続けたことで、もしかしたら中国北方の方からは横槍が入るかも知れません。「湯圓じゃなくて元宵って言うんでしょ?」……。そうなんです。北方では「元宵(ユエンシャオ)」という呼称のほうが一般的なのです。
とはいえ、「湯圓」と「元宵」の区別をめぐる解釈はさまざまです。「甘いのが湯圓で、しょっぱいのが元宵?」「スープが透明なのが湯圓、濁っているのが元宵?」「もち米の粉で生地を作って包むのが湯圓で、具材にからめるのが元宵?」……ときには“怪説”も飛び交い、その定義は極めてファジーだというのが実態ではないでしょうか。
■起源は宋朝“明州”、明朝時代に製法が多様化
「湯圓」「元宵」の定義について多くの人が釈然としない思いでいることでしょう。一方、起源についてはほぼ“古今東西”(南北?)で見解が一致。基本的に宋代の明州(浙江省寧波)に行き着くとされています。そういえば「寧波湯圓」といったら定番中の定番ブランドです。
黒ゴマ、砂糖、ラード(板油:bǎn yóu)で餡をつくり、これをもち米の粉を練ったもので包み、2センチから3センチほどのサイズの団子にします。これを水に入れて茹で、底から浮き上がってきた様子を空に浮かぶ満月に見立て、“浮元子(fu2 yuan2 zi3)”という呼称が生まれたのだそうです。
その後、数世紀の時を隔て明朝の時代になると、「元宵」という呼称が定着していきます。小豆、砂糖、サンザシ、餡蜜等、さまざまな原料を使い、調理法も「蒸す」「煮る」「揚げる」といったように多様化していきます。今日あるバリエーションの一部を取り上げるとざっと次のようなものがあります。
| 寧波:寧波湯圓 | 山西:桂花元宵 |
| 北京:抜絲元宵 | 成都:頼湯圓 |
| 広東:広東潮汕四式湯圓 | 蘇州:五色湯圓 |
| 貴州:興義鶏肉湯圓 | 台湾:客家咸湯圓 |
■願いは共通、「一家団欒・家庭円満」
そのほか有名なものを見てみても、「元宵」と「湯圓」の呼称に統一感はなさそうです。本来なら旧暦1月15日の元宵節に食べる「湯圓」を「元宵」と呼ぶーーそんなシンプルな解釈であれば得心がいくのですが、両者の定義をめぐる「南北」論争がすぐに収束することはないかも知れません。
ただ、いずれの呼称であれ、「一家団欒・家庭円満」といった幸福のシンボルとしてこの“円い“団子をとらえ、「事事円満(全てのことが円満に)」を願うという点では南北に違いはなく、中華圏全体で共有される伝統文化、そして恒久の価値観であるともいえそうです。
では、元宵節快樂!祝你圓,月圓,團團圓圓!(耕雲)
【参考】
南方的汤圆VS北方的元宵,你分得清吗?
https://www.ixigua.com/6659634704100098571?logTag=cvKKhcQzepL0DA8Lf3GtQ
【お役立ち情報】
▶家庭で湯圓作りにトライ!
甘いバージョン、しょっぱいバージョンに分けて湯圓の作り方を解説した動画サイトがありましたのでご紹介しましょう。
①甘い湯圓
▶材料(4人分)
白玉粉:100g すりゴマ(黒):100g 白砂糖:70g ココナッツオイル:70g (無糖バターでもOK)
▶作り方:
①団子の具材作り
すりゴマをボールに入れる→ ココナッツオイルを加える→ 白砂糖を加える→均一になるまで混ぜる→一口大に丸める→お皿に並べる→ラップして冷蔵庫へ
②団子づくり
団子を作る→ 片栗粉を容器に振るう→ 一口大に団子を丸める( ※ポイント:耳たぶくらいの硬さになるよう水量を調整)
③甘い団子作り
冷蔵庫から具材を取り出す→ 具材を包む生地をつくる→ しっかりと具材を包む( ※ポイント:穴があると最後に具材が流れ出てしまうので注意)→ 容器に並べる
④甘いスープづくり
黒糖を沸騰したお湯に加える( ※甘さはお好みで)
⑤団子を茹でる
団子を沸騰したお湯に入れる→浮かび上がるまで待つ→ 火を止め蓋をして5分待つ→ 器に盛り付ける→ 甘いスープを注ぐ
②しょっぱい湯圓(客家咸湯圓)
▶材料(4人分)
白玉粉 100g 豚肉 150g 春菊 6束 セロリ 1本
干し椎茸 4枚 干し椎茸 戻し汁 干し海老 10g
干し海老もどし汁 フライドオニオン15g 塩適量
▶作り方:
①スープの具材を炒める
熱したフライパンに油井をひく→フライドオニオンを炒める→香りが立ったら一旦あげる→同じフライパンで豚肉を炒める→色が変わってきたら塩を振る→完全に火が通ったら一旦あげる→同じフライパンで干し椎茸、エビを炒める→セロリを加え、さえらに炒める
②団子を茹でる
具なしの団子を沸騰したお湯に入れる( ※ポイント:具材を炒めながら同時進行で)→ 椎茸とエビの戻し汁を加え炒める→ お湯を加えスープを作る
→炒めておいた豚肉を加える→ 底に張り付かないように時々混ぜる
→浮かんできたらスープへ移す→ 春菊を加える→しんなりするまで煮る→ 塩を加え味付けをする→炒めておいたオニオンを加える
→しばらく煮る→ 味見をして塩加減を調整する→お好みでパクチー、胡椒を加える。
(出所)「小飛と台湾中国語」-「元宵節」「湯圓の作り方」紹介
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