全人代議員の提案で脚光、“人類最大の天敵”への対策あれこれ
▶全人代議員が「蚊」撲滅提案
「蚊の完全駆除」を通して愛国衛生運動を進め、居住環境を改善していこうーーそんな全人代議員の提案に対して国家衛生健康委員会がこのほど行った回答がネットで話題になった。
当該の提案は「総合的な蚊の撲滅運動の実施に関する提案」(第13期全国人民代表大会(全人代)第5回会議第5749号)というもので、感染症の感染リスクを低減するために蚊の撲滅の意義を訴える内容となっている。
これに対して、国家衛健委の立場は、革新的な蚊の制御技術の研究が全体として十分な段階に至っていないというものだ。ただ、提案の実現が難しいとしながらも、これまでの成果にも言及する。環境に優しく、グリーンで持続可能、経済的な蚊の予防・制御技術は、2008年以降にとくに向上が見られているという。
実際、中国における蚊を媒介とした感染症の流行は減少傾向にある。1940年代に中国国内では3,000万人のマラリア感染者が発生したが、は2017年以降国内で発生したケースはない。
▶ 蚊は人類最大の天敵?
蚊は人類にとって最大の天敵だ。中国科普(ポピュラーサイエンス)作家協会会の員游識猷氏によると人類史上、最も多くの人間を殺した生物でもある。トラ、ライオン、ホホジロザメなどは蚊が人間にもたらす脅威と比べれば微々たるものに過ぎないというわけだ。
たしかにマラリア、デング熱、黄熱病、B型脳炎、ジカウイルス、フィラリア症.....等、致命的な病気が蚊によってもたらされるのは周知のとおり。蚊が原因で死亡する人口は年間70万人にものぼるとされる。
▶“ゼロ蚊“達成は可能か?
むろん蚊の消滅は生態系にとって許容範囲内とみなしてよい。しかし「蚊を根絶する」のは技術的に不可能に近いとするのが游識猷氏の考えだ。「蚊は3,500種以上存在する。そのうち人を刺すのは数十種」としたうえで、これらには異なる生殖習慣があり、生殖が行われる地点、ひいては駆除方法も千差万別となる。したがって、すべての蚊を駆除できる万能な方法はないというわけだ。
生命力が強く、生殖に交尾相手を必要としない品種があるのも厄介だ。これまで農薬のDDTが蚊の駆除のために用いられたことがあるが、他の益虫まで殺す結果を招いているため使用は現実的ではない。
▶ 「遺伝子組み換え蚊」作戦
人を刺さない遺伝子組み換えしたオス蚊を繁殖させ野生に放ったり、あるいは放射線投射や特定のバクテリアに感染させるなどの方法で生殖させないようにし、徐々に蚊を絶滅させるという方法も考案された。
しかし、蚊を一括して野生に放てば、住民から抗議を受ける。想定外のトラブルが発生し、制御ができなくなるリスクもある。現段階では完全駆除をすることのハードルは高く、ゴリ押しすればさまざまな不都合や害を生じかねない。
▶ 成都に「蚊がいない」公園
それでも中国南西部の四川省成都市には「蚊がいない」公園が存在する。7月29日にオープンした「活水公園」で、環境保護意識の向上を目的とする環境教育公園として運営されている。
同公園で話題の種となっているのが50台も設置された蚊取り機だ。人間が吐く二酸化炭素を追跡する蚊の習性を利用して蚊をおびきよせて捕獲するのだという。設置当初、3週間のモニタリングを行った結果、蚊を含む昆虫、約12,000匹が捕獲されたことが確認されている。
北京新闻广播 2022-09-14 21:08
https://mp.weixin.qq.com/s/JaikGjTIsfrUZdIclwGuZQ
Record China|CRI online 2022年8月1日(月) 21時40分
https://www.recordchina.co.jp/b898735-s12-c30-d0165.html