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「万引き家族」 言葉でたどる注目点

NewsWebEasy 2020-09-14


フランスのカンヌかんぬ映画祭えいがさいのコンペティション部門で最優秀賞さいゆうしゅうしょうのパルムドールを受賞じゅしょうした、是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとくの『万引き家族』。日本の作品がパルムドールを受賞じゅしょうするのは21年ぶりの快挙かいきょです。作品への関心かんしん日増ひましに高まり、来月8日からの公開を前に、先行上映じょうえいも決まりました。
世界がみとめたこの映画えいが、どこに注目すればいいのか。監督かんとくの言葉などをもとにさぐります。(科学文化部記者 岩田宗太郎そうたろう

家族の形を問い直したい

『万引き家族』は、東京の狭苦せまくるしい古民家こみんからす6人の物語です。
一家があてにするのは、樹木きき希林きりんさんえんじる祖母そぼが受け取る年金。足りない分は、父親(リリー・フランキーさん)が息子むすこしろつかささん)とともに万引きをしておぎなっています。


「ふだんなら犯罪者はんざいしゃとしてててしまうような、わたしたちがあまり考えないような人たち」と是枝これえだ監督かんとく表現ひょうげんする家族のらしぶりが、丁寧ていねいえがされています。

物語は、父親が、虐待ぎゃくたいを受けていた少女(佐々木ささきみゆさん)を家にれて帰るところから始まります。安藤あんどうサクラさんがえんじる母親は、この少女を実のむすめのようにむかれ、物語の途中とちゅう、「子どもは親をえらべないが、子どもが親をえらんだほうが家族のきずなが強い」という意味のせりふを言います。


この「きずな」という言葉が東日本大震災だいしんさい以降いこう、よく使われてきたことに対し、是枝これえだ監督かんとくは次のように語っていました。

きずなという言葉は、本来的ほんらいてきにいえば血縁けつえんえた共同体きょうどうたいとしてのきずなというところに向かうべきだと思うけれど、『家族は強い』とか『血縁けつえん』とか、なんとなく着地としては『家族っていいよね』という物語があふれたように思う。そこに対する違和感いわかんぼくの中にずっとのこっていた。家族の形をゼロから問い直したい」(カンヌ出発前のインタビューで)


この作品をふくめ、「家族の形」は是枝これえだ作品のテーマの1つとなっています。
是枝これえだ監督かんとくは、『そして父になる』では6年間育てた息子むすこが病院でちがえられた他人の子どもだとわかった2組の夫婦ふうふを、そして『海街うみまちdiary』では母親のちがう妹と一緒いっしょらすことになった姉妹しまいの物語をえがきました。

インタビューで是枝これえだ監督かんとくは、今回の作品について「母はいつ母になるのかが、物語の1つのじく」「自分の子どもではない子どもを育てながら、父親や母親になりたいと思う、そういう人たちの話をやろうと思った」とも語っています。

本当の家族のように


「万引き家族」の出演者しゅつえんしゃのうち、樹木ききさんとリリーさんは是枝これえだ作品の常連じょうれんです。そこに安藤あんどうサクラさんと松岡まつおか茉優まゆさん、それに子役の2人がくわわり、休憩きゅうけい時間もいつも話をしているような家族となりました。

リリーさんは、是枝これえだ監督かんとくはそうした俳優はいゆうどうしのやり取りをつね観察かんさつし、台本に反映はんえいすることもあったと話します。


「どこまでっていてどこまでってないのか、どんどん分からなくなってくるんですよね、そういう空気を是枝これえださんが作ってくれるんで。ことしの1月まで、あばら屋の中でまずしい家族をえんじていたんですけど、そこからレッドカーペット。飛距離ひきょりがすごいというか、映画えいがよりも映画的えいがてきなことが起きてしまった」(21日のNHKの番組で)

一方、是枝これえだ監督かんとくには、俳優はいゆうたちへの感謝かんしゃねんが。

「今回は、役者のアンサンブルがとてもうまくいった。非常ひじょうにバランスのいい形でメインの6人が集まり、どの瞬間しゅんかんみなさんのお芝居しばいがほれぼれするぐらいで、みんなが相手のお芝居しばいをきちんと受けられるという状況じょうきょうで、監督かんとくとしてめぐまれた環境かんきょうれたというのがすごく大きかった」(23日の帰国後会見で)

審査員しんさいんをとりこに

この作品をパルムドールにえらんだことについて、審査員しんさいん長でハリウッド女優じょゆうのケイト・ブランシェットさんは「俳優はいゆう演技えんぎ監督かんとくの思いが見事に合致がっちしている」などと説明せつめいしています。是枝これえだ監督かんとくはその後、中でも安藤あんどうサクラさんの演技えんぎに対する評価ひょうかが高かったと明かしました。


実生活では去年6月に長女を出産しゅっさんした安藤あんどうさん。映画えいがでは他人の子どもを育てる母親として、監督かんとくの言う「母はいつ母になるのか」を体現たいげんしています。

審査員しんさいん女優じょゆうたちはみんな、彼女かのじょのお芝居しばいとくくシーンの芝居しばいがとにかくすごくて、『もしわたしたちがこれから映画えいがの中であのかたをしたら、安藤あんどうサクラのまねをしたと思ってください』とおっしゃっていました。彼女かのじょ存在感そんざいかん審査員しんさいんをとりこにしたんだなと、よくわかりました」(23日の帰国後会見で)


そして作品を印象いんしょうづけているのが、2人の子役の自然しぜん演技えんぎです。
是枝これえだ監督かんとくは子役のしろつかささんと佐々木ささきみゆさんには台本をわたさず、その場でせりふをつたえたと言います。これまでもつづけてきた手法しゅほうですが、今回の作品は、子どもたちの成長せいちょう葛藤かっとうが話の展開てんかいに大きくかかわってくるだけに、2人の演技えんぎも高い評価ひょうかを受けました。


「台本はわたしていないので、簡単かんたん状況じょうきょうだけ説明せつめいして、あとはその場その場でせりふをわたしていく。つかさくんは非常ひじょうかんのよい子だったので、撮影さつえいが進むにつれてストーリーがどうなるのか頭の中でパズルを組み立てていっていましたし、撮影さつえいというものをどんどん理解りかいするようになっていた。そういう成長せいちょうのプロセスを映画えいがの中にのこせたというのはとてもよかった」(カンヌ出発前のインタビューで)

ぼくらが見返される形に


気になる話の展開てんかいですが、予告編よこくへんの後半部分には『次々と明かされていく、家族の秘密ひみつかれらがぬすんだのは、きずなでした』というナレーションが。

そして是枝これえだ監督かんとくは、ストーリーについて次のように語っています。
「見た方が、共感きょうかんしつつも、でもやっていることは悪いことだとアンビバレントな(相反する)感情かんじょうかれながら、あの家族を見ていく。その後半の展開てんかいを、ぎゃくに家族からぼくらが見返されるという形に転じてみようと」(21日のNHKの番組で)

どうやら途中とちゅう事件じけんがあり、家族の秘密ひみつが明かされていく。そのなかで、家族の形やきずなについて、見る人の考えや価値観かちかんが問われたりさぶられたりすることになりそうです。

是枝これえだ監督かんとくが「かさねてきたものが出せた」と自負する映画えいが「万引き家族」は、来月2日と3日に先行上映じょうえいが行われたあと、8日から全国で公開されます。


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