林佳恵《 六朝江南道教の研究:陸修静の霊宝経観と古霊宝経》出版
林 佳恵 著
A5判 306ページ
本体 4,000円+税
(2019年3月25日発売)
ISBN:978-4-657-19801-3
古霊宝経研究の新たな可能性を切り開く――。
道教の方向性を教義と儀礼の両面で決定づけた重要な道教経典、古霊宝経。「元始旧経と仙公新経という新旧二系統の霊宝経の存在」というのがこれまでの通説であるが、古霊宝経のテキストを読むかぎり、この考えには実体的根拠がなく、古霊宝経の分類整理を行った劉宋の道士、陸修静の霊宝経観に由来していた。
古霊宝経をありのまま読むと同時に陸修静の功績も振り返る、古霊宝経研究に一石を投じる意欲作。
林 佳恵,2013年3月、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程(東洋哲学専攻)単位取得満期退学。2016年5月、博士(文学)(早稲田大学)。博士論文「古霊宝経の研究―敦煌本「霊宝経目録」に於ける経典の分類をめぐって―」。
目 次
序 論
第1節 序言(先行研究史)
第2節 問題の所在
第3節 研究の方法
第1篇 敦煌本「霊宝経目録」における経典の分類
第1章 陸修静による霊宝経典の分類
第1節 序 言
第2節 敦煌本「霊宝経目録」の分類と「元始系」・「仙公系」の不一致
第3節 陸修静の考える「元始旧経」
第4節 「元始旧経」と紫微宮秘蔵の経の関係
第5節 紫微宮秘蔵の経の条件
第6節 『太上洞玄靈寶眞文要解上巻』の分類
第7節 小 結
第2章 陸修静の霊宝経観と『太上洞玄靈寶天文五符經序』の分類
第1節 序 言
第2節 陸修静が示す霊宝経の二つの系統
第3節 「霊宝経目序」に見える陸修静の霊宝経観
第4節 『太上洞玄靈寶天文五符經序』の分類
第5節 陸修静の霊宝経分類における「太上」の位置付け
第6節 『太上太極太虚上眞人演太上靈寶威儀洞玄眞一自然經訣』の分類
第7節 小 結
第3章 陸修静の霊宝経観と「舊目」の解釈
第1節 序 言
第2節 陸修静の霊宝経典の分類結果と「舊目」の解釈
第3節 「篇目」の「未出」経典と「未出」の意味
第4節 小 結
第2篇 敦煌本「霊宝経目録」の分類カテゴリーの検証
第4章 霊宝経における新旧の概念の形成
第1節 序 言
第2節 霊宝経における陸修静の新旧の概念
第3節 敦煌本「霊宝経目録」著録経典中の「新経」の概念
第4節 敦煌本「霊宝経目録」著録経典中の「元始旧経」の概念
第5節 霊宝経典中の「舊」の語の意味
第6節 小 結
第5章 「十部妙經」と「元始旧経」
第1節 序 言
第2節 「十部妙經」に言及する「元始旧経」中の経典
第3節 「十部妙經」の設定
第4節 「十部妙經」と「十方」の観念
第5節 「十部妙經三十六巻」の検証
第6節 小 結
第6章 分類の為のカテゴリーとしての「元始旧経」と「仙公新経」
第1節 序 言
第2節 「元始旧経」の検証
第3節 「仙公新経」の検証
第4節 「仙公新経」と「元始旧経」で共通する戒
第5節 小 結
第3篇 陸修静の霊宝経観
第7章 霊宝経と天師道
第1節 序 言
第2節 霊宝経中の『道德五千文』への言及
第3節 「靈寶齋」と「三天齋」
第4節 霊宝経典中の天師張道陵
第5節 霊宝経典中の天師道の神々
第6節 「元始旧経」に見える「發爐」
第7節 小 結
第8章 陸修静の霊宝経観の形成
第1節 序 言
第2節 「靈寶經目序」中の霊宝経観の形成にかかわる霊宝経典
第3節 「靈寶經目序」に見える陸修静独自の霊宝経観
第4節 『太上洞玄靈寶授度儀』の「師告丹水文」中の霊宝経に関する言及の考察
第5節 陸修静の霊宝経観の継承
第6節 小 結
結 論
あとがき
主な参考資料・文献
索 引
英文要旨
(感謝思齊兄提示!)