新书:《上海の戦後:人びとの模索・越境・記憶》
上海の戦後:人びとの模索・越境・記憶
编者:髙綱博文・木田隆文・堀井弘一郎
出版社:勉誠出版
刊行年月:2019年8月
定価 :3,024円
ISBN:978-4-585-22702-1
A5判・並製 244 頁
内容简介
戦後上海の人びとの生き様と歴史―
終戦から中華人民共和国成立にいたる上海の〈戦後〉を、その時代を体験した人びとの〈模索〉、〈越境〉、〈記憶〉という切り口から描き、戦後上海の多様性に注目した新たな歴史像を提示する。〈模索〉対日協力者の足跡・資本家の苦悩と選択・民衆の苦難など、中国の人びとが激動期をいかに生き抜いてきたか。〈越境〉亡命ユダヤ人・租界のフランス文化人・上海に残留した「留用」日本人など、「国際都市」上海における外国人の軌跡を描く。〈記憶〉戦前・敗戦期の上海体験をテーマとした堀田善衞・武田泰淳・村上春樹らの作品を素材に、戦後における日本人の上海記憶のあり方を考える。
编者简介
髙綱博文(たかつな・ひろふみ)
日本大学教授。専門は中国近現代史、上海史。
主な著書に『「国際都市」上海のなかの日本人』(研文出版、2009年)、『戦時上海―1937~45年』(編著、研文出版、2005年)、『戦時上海のメディア―文化的ポリティクスの視座から』(共編著、研文出版、2016年)などがある。
木田隆文(きだ・たかふみ)
奈良大学文学部教授。専門は日本近代文学。
主な著書・論文に『アジア遊学205 戦時上海グレーゾーン』(共編著、勉誠出版、2017年)、「武田泰淳『中秋節の頃(上)』の周辺―日本統治下上海における邦人文学界の状況」(『日本近代文学』2011年11月)、「上海漫画家クラブとその周辺―『大陸新報』掲載記事を手掛かりに」(『戦時上海のメディア―文化的ポリティクスの視座から』研文出版、2016年)などがある。
堀井弘一郎(ほりい・こういちろう)
日本大学非常勤講師。専門は日中関係史。
主な著書・論文に『汪兆銘政権と新国民運動―動員される民衆』(創土社、2011年)、『「満州」から集団連行された鉄道技術者たち―天水「留用」千日の記録』(創土社、2015年)、『アジア遊学205 戦時上海グレーゾーン』(共編著、勉誠出版、2017年)などがある。
内容
はじめに―戦後上海への招待 髙綱博文
第Ⅰ部 人びとの〈模索〉
対日協力者の戦後―日本亡命者盛毓度と留園 関智英
過去を背負って生きる―二人の「文化漢奸」 山口早苗
民族資本家の一九四九年―劉鴻生一族の選択 上井真
戦後の上海インフレーション 菊地敏夫
物価の高騰と内戦―民衆の苦難と不安の日々 石島紀之
一九四六~一九四九年の上海話劇 邵迎建
上海のキリスト教―戦後・建国後・現在 石川照子
コラム 夢見る上海、さらにカラフルにヒキタミワ
インタビュー 上海総領事を勤めて 片山和之
第Ⅱ部 〈越境〉の軌跡
戦後上海の欧米人社会―一九四六年の英字紙紙面から 藤田拓之
上海ユダヤ人の戦後―「待合室」上海から、「目的地」アメリカへ 関根真保
上海から京都へ―「高博愛」(Charles Grosbois)の戦後 趙怡
戦後上海に残留する日本人(一九四六~一九四九) 陳祖恩
共産党政権下、上海で「留用」された人びと 堀井弘一郎
戦後上海の朝鮮人武井義和
コラム 海と言語を跨いだ朱實老師―建国前日の天津上陸 井上邦久
インタビュー 中国に最先端のオフィスビルを造る 吉村明郎
第Ⅲ部 〈記憶〉の再編
堀田善衞と敗戦期上海日本文化人の「中国」表現―日記・雑誌・作品 陳童君
堀田善衞をめぐる敗戦前後の上海人脈 丁世理
上海ノスタルジーのゆらぎ―武田泰淳『上海の蛍』における回想の方法 藤原崇雅
二つの祖国―生島治郎の上海ものをめぐって 戸塚麻子
村上春樹が描く上海―『トニー滝谷』における父子の傷 山崎眞紀子
桑島恕一軍医大尉の「正体」―一九四六年米軍上海軍事法廷の一案件 馬軍
小泉譲の〈上海追懐もの〉六作品を読む―見果てぬ夢の街、上海 竹松良明
終戦後上海の国民党系雑誌に見る日本 渡邊ルリ
コラム 「凍結」された街並みと摩天楼 岸満帆
インタビュー 上海漫画『星間ブリッジ』を描いてきゅっきゅぽん