新书:岩間一弘編著《中国料理と近現代日本:食と嗜好の文化交流史》
岩間 一弘 編著
A5判/上製/392頁
初版年月日:2019/12/25
ISBN:978-4-7664-2643-4
定価 5,720円(本体 5,200円)
序 章 日本の中国料理はどこから来たのか 岩間一弘
1 帝国日本の中国料理
2 第二次世界大戦後の中国料理
3 日中国交正常化から現在まで
4 本論集の概要
第Ⅰ部 近現代日本の中国料理
第1章 戦前期日本の「支那料理」――家庭での受容と「支那料理店」をめぐる状況 川島真
はじめに
1 明治期の支那料理――評価の転換
2 家庭料理としての支那料理――『主婦之友』等を手掛かりとして
おわりに
第2章 日本における中国料理の受容:歴史篇――明治~昭和30年代の東京を中心に 草野美保
はじめに
1 黎明期――幕末~1898(明治31)年
2 揺籃期――1899(明治32)年~1909(明治42)年
3 確立期――1910(明治43)年~関東大震災:1923(大正12年)
4 発展期――1924~29(大正13~昭和4)年、及び全盛期――1930~37(昭和5~12)年
5 低迷期――1938(昭和13)年~終戦:1945(昭和20)年
6 復興期――終戦~1955-64年(昭和30年代)
おわりに
第3章 日本における中国料理の受容:料理篇――明治~昭和30年代の東京を中心に 草野美保
はじめに――日本の定番中国料理
1 豚肉の生産
2 豚肉料理
3 〔芙蓉蟹〕から〔かにたま〕へ
4 〔八宝菜〕〔チャプスイ〕そして〔中華丼〕
5 各種麺類
6 〔春巻/春捲〕
7 デザート類
おわりに
第4章 日本の華僑社会におけるいくつかの中国料理定着の流れ――神戸・大阪を中心として 陳來幸
はじめに
1 幕末の開港から40年
2 20世紀前半の50年
3 戦後の50年
おわりに
第5章 京都の中国料理――伝統の創造と料理の帰属 岩間一弘
はじめに
1 京都における老舗中国料理店の系譜
2 京都の北京料理
3 京料理としての中国料理
おわりに
第6章 熊本の「郷土料理」としての中国料理「太平燕」から考える
――素材と文脈、文化を「囲い込む」こと、開くこと 田村和彦
はじめに
1 中国料理としての太平燕/熊本の中国料理としての太平燕
2 中国の太平燕――その素材と料理の文脈依存性について
3 熊本の「当たり前」から全国に誇る「郷土料理」へ
おわりに
第7章 日本における中国料理の料理人の現地化と業界団体の変化 陳嘉適
はじめに
1 日本における中国料理系外食産業の発展
2 日本における中国料理業界の現地化と業界団体の変化
おわりに
第Ⅱ部 越境する中国料理
第8章 料理人と料理教育者――台湾が日本に輸出した「中国料理」:1945年から1970年を中心に 陳玉箴(持田洋平 訳)
はじめに
1 料理人の移動――「華僑」と国外に派遣された料理人たち
2 料理教育者――辛永清と傳培梅
おわりに
第9章 チャジャン麺ロード――20世紀東北アジア、チャジャン麺流浪の旅 周永河(丁田隆 訳)
はじめに――1990年代半ばの北京、チャジャン麺の失踪
1 1930年代、韓国の山東風チャジャン麺
2 1950年代後半、アメリカの小麦供給と韓国風チャジャン麺の大衆化
3 2000年代まで受け継がれた長崎のチャジャン麺
4 2000年代の中国大陸、炸醤麺の再生
おわりに
第10章 朝鮮半島における「中国料理」の段階的受容――分断後の韓国までを視野に 林史樹
はじめに
1 近現代の朝鮮半島にみられる中国料理の浸透と定着
2 朝鮮時代から近現代への連続性――朝鮮時代の料理にみられる中国式粉食
3 「中国料理」の段階的受容
おわりに
第11章 グローバル政治におけるディアスポラ汎中国料理の創出 呉燕和(大道寺慶子 訳)
はじめに
1 ホノルルの「秋葉」の事例
2 ニューオーリンズの「福園」
おわりに
第12章 中国語教育と中国の「食文化」に関する考察――中国語テキストにおける事例を中心に 浅野雅樹
はじめに
1 語学教育における文化的な要素の導入について
2 「中国語教育」と「中国食文化」の関係性
3 中国語テキストにおける「食文化」に関する語彙
4 中国語教育ガイドラインと〝課文〞 「テキスト本文」の整合性について
おわりに
第Ⅲ部 中国料理の文化と政治
第13章 「中国料理」はいつ生まれたのか――『申報』に見える料理の語彙の分析を通して 西澤治彦
はじめに
1 中国料理の総称としての
「唐菜」「中国菜」「華菜」「中餐」などの語彙
2 外国料理としての
「番菜」「外国菜」「西菜」「洋飯」「西餐」などの語彙
3 考察
おわりに
第14章 1920-30年代における上海の調味料製造業と市場競争――中国の味精と日本の味の素に着目して 李培徳(湯川真樹江 訳)
はじめに――語り継がれる市場競争
1 味の素と味精の出会い
2 味精と味の素の競争――盗用、模範、それとも借用か
3 上海調味料市場の競争
おわりに
第15章 太平洋戦争下の食と健康――中国の日本人俘虜は何を食べていたのか 貴志俊彦
はじめに
1 収容所環境の変化と俘虜の食事
2 1945年、収容所環境の悪化
3 俘虜をめぐる戦後直後の変化
おわりに
第16章 北京老字号飲食店の興亡――全聚徳を例にして 山本英史
はじめに
1 創業・発展・戦争
2 人民中国と全聚徳
おわりに
後 記
執筆者・翻訳者紹介
付録
資料① 東京(都心)有名中国料理店地図
資料② 中国料理関連文献目録(Web公開) 草野美保
著者略歴
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【編著者】
岩間一弘(いわま かずひろ)
1972年生。慶應義塾大学文学部教授。
主要著作:「中国料理はなぜ広まったのか――地方料理の伝播と世界各国の「国民食」」(西澤治彦編『「国民料理」の形成』ドメス出版、2019年所収)、ほか。
【執筆者】
浅野雅樹(あさの まさき)
1973年生。慶應義塾大学文学部教授。
主要著作:「類義語をどのように教えるか――弁別法の使用を中心に」(『中国語教育』9号、2011年3月)、ほか。
川島真(かわしま しん)
1968年生。東京大学大学院総合文化研究科教授。
主要著作:『中華民国史研究の動向――中国と日本の中国近代史理解』(共編著、晃洋書房、2019年)、ほか。
貴志俊彦(きし としひこ)
1959年生。京都大学東南アジア地域研究研究所教授。日本学術会議連携会員。
主要著作:『日中間海底ケーブルの戦後史――国交正常化と通信の再生』(吉川弘文館、2015年)、ほか。
草野美保(くさの みほ)
1968年生。(公財)味の素食の文化センター職員。
主要著作:『『遵生八牋』飲饌服食牋――明代の食養生書』(共訳註、明徳出版、2012年)、ほか。
呉燕和(David Y. H. Wu)
1940年生。ハワイ大学人類学部(Graduate Faculty of Anthropology, University of Hawaii)教授。
主要著作:Overseas march: how the Chinese cuisine spread? Taipei: Foundation of Chinese Dietary Culture, 2011.(編著)、ほか。
周永河(Joo, Yongha, 주영하)
1962年生。韓国学中央研究院韓国学大学院教授。
主要著作:『食卓の上の韓国史』(韓国語)(ソウル、Humanist、2013年)、ほか。
田村和彦(たむら かずひこ)
1974年生。福岡大学人文学部教授。
主要著作:「文化人類学與民俗学的対話――圍繞「田野工作」展開的討論」(周星編『民族学的歴史、理論與方法』(上)北京、商務印書館、2006年所収)、ほか。
陳嘉適(Chan, Ka Sik)
1971年生。元・マカオ旅遊学院特邀副教授。
主要著作:「総合度假村零售業的現状與建議」(『澳門旅遊休閑発展報告(2017-2018)』北京、社会科学文献出版社、2018年所収)、ほか。
陳玉箴(Chen, Yujen)
1977年生。国立台湾師範大学文学院副教授。
主要著作:『食物消費中的国家体現――「台湾菜」的文化史』(台北、聯経出版、2020年近刊)、ほか。
陳來幸(ちん らいこう)
1956年生。兵庫県立大学国際商経学部教授。
主要著作:『近代中国の総商会制度――繋がる華人の世界』(京都大学学術出版会、2016年)、ほか。
西澤治彦(にしざわ はるひこ)
1954年生。武蔵大学人文学部教授。
主要著作:『中国食事文化の研究――食をめぐる家族と社会の歴史人類学』(風響社、2009年)、ほか。
林史樹(はやし ふみき)
1968年生。神田外語大学アジア言語学科教授。
主要著作:『韓国食文化読本』(共編著、国立民族学博物館、2015年)、ほか。
山本英史(やまもと えいし)
1950年生。南開大学歴史学院講座教授。慶應義塾大学名誉教授。
主要著作:『清代中国の地域支配』(慶應義塾大学出版会、2007年)、ほか。
李培徳(Lee, Pui Tak)
1964年生。香港大学現代語言及文化学院名誉教授。
主要著作:『日本仁丹在華的市場策略及其與中国人丹的競争』(『中央研究院近代史研究所集刊』89期、2015年9月)、ほか。
【翻訳者】
大道寺慶子(だいどうじ けいこ)
1975年生。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。
主要著作:“Treating Emotion-Related Disorders in Japanese Traditional Medicine: Language, Patients and Doctors”, Culture, Medicine, and Psychiatry, Volume 37, Issue 1, March 2013, pp.59-80., ほか。
丁田隆(まちだ たかし)
1972年生。昌原大学校日語日文学科客員教授。
主要著作:「朝鮮時代の済州島風俗をめぐる理念と政策」(韓国語)(『歴史民俗学』55号、2018年12月)、ほか。
持田洋平(もちだ ようへい)
1986年生。立教大学非常勤講師。
主要著作:「「国語」教育の分断と連帯――1900年代後半のシンガポール華人社会における初等学堂の設立に関する一考察」(『中国研究月報』72巻4号、2018年4月)、ほか。
湯川真樹江(ゆかわ まきえ)
1982年生。香港中文大学歴史系訪問学者。
主要著作:「「満州国」における興農合作社の組織化と水稲奨励品種の普及活動」(『中国研究月報』73巻6号、2019年6月)、ほか。