新书:趙怡『二人旅上海からパリへ :金子光晴・森三千代の海外体験と異郷文学』
作者:趙 怡(著/文)
出版社:関西学院大学出版会
出版时间:2021年4月9日
页数:592ページ
定価 5,800円+税
ISBN:978-4-86283-319-8
本书简介
金子光晴と森三千代。二人のDNAの二重らせんのような生き方と交流。そこから紡ぎだされた作品群。遺族や関係者の協力を得て多くの未発表作品と新事実を発掘し、この数奇な作家夫婦の関係を考察。
作者简介
趙 怡 (チョウ イ),1962年生まれ。関西学院大学経済学部教授。南京大学外国言語文学部フランス言語文学科卒業。南京林業大学助教を経て1989年来日。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は比較文学・比較文化、主な関心は翻訳文学、異文化交流、上海フランス租界の文化と歴史など。著書に『上海租界与蘭心大戯院』(共編著、上海人民出版社、2015年)、訳著に川本皓嗣『日本詩歌的伝統――七与五的詩学』(共訳、訳林出版社、2004年)、西原大輔『谷崎潤一郎与東方主義――大正日本的中国幻想』(中華書局、2005年)、榎本泰子『西方音楽家的上海夢――工部局楽隊伝奇』(上海辞書出版社、2009年)などがある。
目录
はじめに
凡例
第一部 三度の中国行と「放浪の旅」
第一章 初めての中国旅行
一 「ゆきたくてならなかつた支那」
二 日中文化人交流のネットワークの形成
三 関係記録の整理と旅行の詳細
四 谷崎潤一郎の追体験を味わう
五 田漢との交友
六 上海芸術界に関する紹介
第二章 上海と周辺都市の表象
一 「支那趣味」文学と共著詩集『鱶沈む』
二 南京 ── 「はてしなくすたれてゆく古い都」
三 蘇州と杭州 ── 日本人のオアシス
四 上海 ── 苦力の体臭が充満する街
第三章 中国文化人との交流
一 田漢の来日と再会
二 上海再訪、魯迅・郁達夫との出会い
三 魯迅・郁達夫との交流
四 広がる交流の輪
第四章 「放浪の旅」再考
一 「放浪の旅」に関する記述
二 余慶坊の日常
三 武漢への旅
四 異なる蘇州景色
五 パリ滞在の真実と虚構
第五章 描かれた上海とパリの都市風景
一 金子光晴の上海紀行詩
二 森三千代の紀行詩
三 紀行文集『をんな旅』
四 二度の「上海事変」から生まれた回顧
第二部 戦時下の海外訪問と異郷文学
第六章 戦争の足音を聞きながら
一 「鳥は巣に」 ── 文学活動への復帰
二 中国の文化人に描かれた森三千代
三 郁達夫の来日とその後
四 金子光晴の「童話」
第七章 金子光晴・森三千代の「北支」旅行
一 旅行の詳細と関連作品
二 「われわれ」と「彼ら」との対立構図
三 揺れ動く戦争認識と中国像
四 「美しき」兵士像の変身
五 『あけぼの街』に描かれた戦時下の天津
第八章 中国軍人「柳剣鳴」の形象
一 出会いと別れ ── 短編小説「柳剣鳴」
二 戦時下の思い ── 『あけぼの街』と「女弟子」
三 二〇年後の再会 ── 「新宿に雨降る」
四 鈕先銘の思い ── 「伝家の宝」と詩作「無題」
第九章 森三千代の仏印訪問と南洋文学
一 「仏印」訪問と関連作品
二 紀行詩文から見る仏印訪問
三 日記に隠された真実
四 夫婦の異なる南洋観
五 森三千代の南洋文学
六 「豹」に託された思い
第三部 「自伝」という名のもとで─妻の語りと夫の語り
第一〇章 二つの髑髏杯 ─ それぞれの上海小説
一 『どくろ杯』を読む
二 「通り雨」と『どくろ杯』
三 もう一つの髑髏杯 ── 森三千代の「春灯」シリーズ
第一一章 夫婦それぞれのパリ物語
一 異なるパリへの眼差し
二 散文詩vs小説
三 多種多様な人物像
四 「シャンジュ・シュバリエ」 ── 白色の脅威
第一二章 男と女、東洋対西洋の構図
一 異国描写における「自虐」感情
二 西洋文明に対峙する中国文化人の自信
三 中国近代文学に描かれた日中間の恋愛物語
四 金子光晴が描いた中国人女性 ── 実像から虚像へ
終章 生涯続く夫婦の旅
一 出会いと恋愛の記憶
二 作品化された夫婦の確執
三 妻と夫の公開状
付録1 金子光晴・森三千代海外旅行旅程
付録2 金子光晴・森三千代海外関連主要作品一覧
付録3 森三千代作品リスト
初出一覧
参考文献
あとがき
索引