中国鉄道チケットレス講座
中国鉄道チケットレス講座
今日から使える
中国鉄道チケットレス講座
中国鉄道チケットレス講座
中国鉄道のウィークポイントは、切符を買うときに発生する切符売り場の窓口の長蛇の列と、お目当ての切符がなかなか入手しづらいことだった。しかし、2010年に切符予約サイトの12306が登場して以降、年々システムが改良されていき、今ではスマホアプリで簡単に切符の予約と支払いができるようになるまでになった。
ただし、外国人の我々にとって、切符が予約できても、発券は窓口の前で長い間並ぶことを余儀なくされていたものの数年前から、G、D、Cの都市間鉄道※、動車組、高速列車を対象に、紙の切符が要らないチケットレス乗車が一部の区間ではじまり、ようやく外国人もその対象になりはじめた。今ではどのくらいの種類が普及しているのかまとめてみた。
※都市間鉄道は中国語で城際(ChengJi)鉄道と読む
1
01
12306におけるチケットレス
広州南駅の1階にある広珠城際待合室と3階にある高鉄の待合室に入るときは人工験証でパスポートと電子チケットデータを係員に見せる
1
✕ こちらは今年の7月27日、12306より発表された電子チケット(鉄路電子客票)。12306が発表した区間で切符の予約ができていれば、発券していなくても予約データと身分証(外国人はパスポート)さえあれば駅に入ることができ、身分証のみを自動改札の証件読み取り口にかざせばゲートが開くのだ。
発券済みの切符を出すことも不要。降りる駅の自動改札にあるオレンジの証件読み取り機にパスポートをかざせばゲートが開き改札の外に出られる。
もちろん12306で登録したあとパスポートを持って駅窓口で核験(認証)作業が必要となる。
▲広州南駅にある電子チケット対応の改札は、すでに電子チケットを持っていれば、自動改札の赤枠の証件読み取りにパスポートの写真入りID入りページを差し込むと通過できる
12306のチケットレス対象区間は
中国全土で5カ所
① 上海~南京の滬寧城際(上海虹橋駅と南京南駅は対象外)
② 広州南~珠海/湛江西のD動車組(広珠線)
③ 成都東~重慶西/重慶北のG高速鉄道
④ 昆明南~大理/麗江のD動車組
⑤ 海南島全区間のD動車組
12306では電子チケットの路線を発表している
1
✕ APPの12306で該当区間の切符を予約すると、画面上に「切符の発券は不要です」と言う中国語のメッセージが送られてくるが発券をしてもいい。もし切符を精算(报销)するなら、その路線が走る駅窓口に行って精算用の切符を発券してもらう(ここで発券した切符は乗車できない)。
もしAPPかネットの12306で予約をせず、駅の窓口で切符を買うとレシートのような紙をもらうので、これを後で広州南駅の切符売場で报销してもらう。
広州南駅の地下鉄K出口にはパスポート対応の自動券売機があり、赤枠の「機読旅行証件」にパスポートのIDページ入れると読み取ってくれる。広珠線の電子チケットの発票印刷はここで行う
12306の電子チケットが対応している主な駅
広州南…◯
広州東…✕
広州…✕
珠海…◯
中山…◯
深圳…✕
北京…✕
天津…✕
上海…◯
上海虹橋…✕
南京…◯
南京南…✕
海口…◯
三亜…◯
1
02
支付宝の広深城際列車乗車プログラム。広州と深圳間を頻繁に移動する方にお薦め。
▲支付宝内にある广深で検索すると広深城際掃碼通(广深城際扫码通)が出てくる。下の「刷碼注册」を押すと個人のQRコード画面になる。写真右は自動改札での登録方法
1
✕こちらは広州~深圳間を走る広深線を対象に今年の1月から実施した支付宝(アリペイ)による乗車方法で、アプリの支付宝に入っている広深城際掃碼通(广深城際扫码通、ピンインはGuang Shen Cheng Ji Sao Ma Tong)で作ったQRコードとパスポートを自動改札にかざせばゲートが開く。
支付宝の支払いを前提としているので、支付宝が使えなければ利用できない。
最初に、支付宝で広深城際掃碼通を検索し、この単語が出てきたら開通させて利用できるようにする。次に広州東駅(広州〜深圳間の広深線の駅ならどの駅でも可能)にある広深線専用の自動改札で支付宝とパスポートを使った登録(注册)を行う。
流れとしては、①支付宝内の広深城際掃碼通で作ったQRコードを自動改札で読み取る、②顔の認証を行う、③パスポートIDページをオレンジの読み取り口に差し込んで認証できれば成功。
その日から利用できる。
個人の登録に成功すると、支付宝から広深城際掃碼通を立ち上げるとこの画面になる
1
✕使用する際は、広深城際掃碼通から「刷碼進站」を押すと乗車用QRコードが作成される。
広州駅、広州東駅、東莞駅、常平駅、樟木頭駅、平湖駅、深圳駅にある自動改札で刷碼進站のQRコードを読み取り機にかざした後、パスポートを身分証読み取りにかざすとゲートが開く。
そのとき、広深線の全区間の二等席価格79.5元が口座から引かれる。同時に本人の携帯番号に支付宝から乗車する列車番号と車両、座席位置が自動的にSMSで送られてくる(始発駅限定、途中駅からの乗車はすべて無座、立ち席扱いになる)。
広深城際掃碼通には前回乗車した履歴が残る
駅の自動改札機を通ると、支付宝からSMS情報が来る
途中駅で下車した時、支付宝の広深城際掃碼通で実際利用した金額と返却分の金額が表示される
1
✕目的の駅の改札を出るときは支付宝のQRコードを自動改札に読み込ませるだけでOK。全区間乗車しない場合は、未乗車区間の料金はすぐ口座に戻ってくる。
この広深城際掃碼通は18歳以上の本人のみしか使えない。また、中国の携帯電話と中国の銀行の口座を支付宝に登録しなければ利用できない。
切符の精算印刷用(报销)の機械は、深圳駅は改札出口を出た左側にあり、広州東駅は広深線の改札出口を出た右側にある。
これらの精算機械では画面で「打印発票」を選び、支付宝のQRコード読み取り画面で読み込むと、これまでの利用履歴が画面に出てくる。
画面下の「打印」を押すと、レシートみたいな紙が出てくるので、これが精算用紙となる。最大10件まで出力でき、データの有効期限は3カ月。
広州東駅広深線改札出口近くにある精算(报销)の機械
1
✕もし、自動改札を通過したあと乗車を取り消すときは同じ駅の駅職員がいる人工窓口で手続きを行う。
通過後30分以内は無料、30〜60分以内はこの駅から一番近い区間の料金が引かれる、1〜3時間を過ぎるとこの駅から一番遠い区間の料金が引かれる。3時間以上経つと広深線の全区間の料金(79.5元)を引かれる。
この広深城際掃碼通は二等席乗車を前提としているため、一等席に移る場合は乗車中、乗務員に補票してもらう。
アプリの支付宝はパスポート番号を登録しているので、途中パスポートを更新してしまうと身分不一致で自動改札が使えなくなる。
その時は支付宝の「我的客服」から「在線諮詢」のチャットで問い合わせる(要中国語)。新旧のパスポート画面を撮って送るように言われ、送ったら翌日には変更できていた。広深城際掃碼通でも身分証の更新ボタンがあるので、こちらでもやっておかないと登録できなくなる。
使える区間
広深線全区間(広州〜深圳)のみ
1
03
利用地域が増えている。中国版Suicaの中鉄銀通カードはかなり便利
▲中鉄銀通卡。広東省では使用範囲が狭いが、北京と天津、上海圏内ではかなり使える
1
✕ こちらは2013年12月よりスタートした中国鉄路と中鉄銀通支付有限公司が提携してできたICチップの入った交通カードで、現在33カ所の都市間鉄道で利用できる。このカードは乗車前、降車後の自動改札機で使えることができる。
◎中鉄銀通卡のHP(外部リンク)
中鉄銀通の文字がある専用窓口で1元からチャージでき、最高額5000元まで貯められる。また、1度に使える最高額は1000元。カードの有効期限は5年で過ぎると更新手続きをする。
切符発券の並び待ちがない、パスポートを必要としない同カードだが、乗車するとき決まった路線の全区間分の残高が必要になるため、不足していると自動改札を通り抜けられないことと、対応する路線によっては列車に割り当てられる座席は限られている(それ以外は無座)。
また、広東地域だと広珠城際線(広州南~珠海)、莞恵城際線(道滘~小金口(出口真向かいが恵州駅))、広佛肇城際線(広州〜佛山西〜肇慶)のみしか利用できないといった制約がある。
実際広州で暮らしている日本人にとっては珠海や佛山に用事がなければそこまでの必要性を感じない。
中鉄銀通カード対応地域
※12306より
1.長琿城際(長春、長春西~琿春)
2.瀋丹線(瀋陽北、瀋陽~丹東)
3.京津城際(北京南~天津~于家堡)
4.大西高鉄太西段(太原南~西安北)
5.鄭焦城際(鄭州~焦作)
6.鄭開城際(鄭州東~宋城路)
7.鄭機城際(鄭州東~新鄭機場)
8.武石城際(武漢~黄石北)
9.武岡城際(武漢~黄岡)
10.武孝城際(武漢~孝感東)
11.蘭新高鉄西宝区間(西安北~宝鶏南)
12.青栄城際(青島、青島北~栄成)
13.滬寧高鉄(上海、上海虹橋~南京)
14.滬杭高鉄(上海、上海虹橋~杭州)
15.寧安高鉄(南京南~安慶)
16.寧啓線(南京~南通)
17.福厦線(福州~厦門北)
18.龍厦線(龍岩~厦門北)
19.広珠城際(広州南~珠海/新会)
20.深圳坪山快捷(深圳北~深圳坪山)
21.莞恵城際(小金口〜道滘)
22.長株潭城際(長沙~株洲~湘潭)
23.海南環線(海口、海口東~三亜)
24.桂林北~南寧~北海
25.成綿楽客運専(江油~峨眉山)
26.成灌城際(安靖~青城山~離堆公園~彭州)
27.成渝高鉄(成都東〜重慶北)
28.渝万客専(重慶北~万州北)
29.昆玉高鉄(昆明南~玉溪)
30.北京城市副中心線(北京西~通州)
31.S5線(黄土店~古北口)
32.広佛肇城際(広州〜佛山西〜肇慶)
33.重慶市域鉄路(重慶北〜重慶西)
1
✕ カード作成はすべての駅で出来るわけではない。例えば、広東省内の駅だと、広州、佛山西、大旺、肇慶、広州南、小欖、新会、中山北、珠海、深圳北、深圳坪山、小金口、西湖東、常平東、松山湖北、西平西で受け付けている。
全国の取り扱い駅はこちらから(外部リンク)。
カードを作成には申請用紙(窓口でもらう)と身分証(外国人はパスポート)、デポジット(押金)30元と最初のチャージ額300元が必要。他の費用として年間費10元、カード交換費10元、カード取消費20元。パスポートをスキャンすると、カードの裏側にパスポートの顔写真が印刷される。
中鉄銀通卡の申請用紙
1
✕カードは一等席が利用できる金のカードと二等席のみ利用できる銀のカードの2種類。
並び待ちせずに列車に乗れるメリットはあるものの、列車によっては席の割当てをしてもらえずその後は立ち席になることもあるので北京や上海で高速鉄道に乗車するときは気をつけてほしい。
強みはなんと言っても、駅に入るときこのカードを見せればパスポートを出さなくてもそのまま入れるのだ。乗車するときも降車するときも自動改札にカードをかざすだけでOK。その際使った金額と残金が表示される。
自動改札を出るときに使用金額と残金が表示される
精算(报销)するときは乗車後、中鉄銀通卡が使える駅窓口でカードを出すと乗車した区間の切符を発券してもらい、これを請求する
1
✕切符の印刷は担当路線の専用窓口で乗車後31日以内に行う。
使える区間
全国33カ所。上記の一覧表を参照
広深線…✕
1
04
今後全国で使えるようになる?鉄路e卡通
1
✕ 鉄路e卡通とはアプリの12306内にある乗車プログラムで、スマホ画面に出た乗車用QRコードを自動改札にかざせば乗車が出来るようになる。乗車したあと料金が引かれる。
登録にはアプリ内の鉄路e卡通に個人のパスポート写真と個人写真を送る他、細かいデータを入力する。
今のところ、湖南省の長株潭城際線(長沙~株洲~湘潭)の自動改札のみしか対応していないが、広州東駅の広深線専用の自動改札にも鉄路e卡通のロゴと名前が入っているのを見ているので、将来都市間鉄道などで普及していく可能性は高い。
使える区間
長株潭城際線(長沙~株洲~湘潭)のみ