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【瀋陽鉄路陳列館】大陸を走ったSLパシナ、アジア号と対面

安住生活 2019-10-10

瀋陽鉄路陳列館

大陸を走ったSLパシナ、アジア号と対面


パシナをはじめ、歴代の機関車と車両がズラッと並ぶ瀋陽鉄路陳列館



 70年以上前かつて中国の東北部では、日本の手で造られた最高時速130㎞の蒸気機関車が牽引する「あじあ」号や「はと」号、「大陸」号といった特急列車や急行列車(1934年〜43年)が大連と瀋陽、長春などと結んでいた。これらの蒸気機関車は「パシナ」や「パシハ」という名称で多くの人々から親しまれていた。

 かつて大陸を走ったという日本の蒸気機関車は日本が大陸から引き上げた後旧ソ連や中国によって接収され、一部は中国の国鉄で80年初期まで活躍していたがやがて老朽化とともに引退した。

 今回は、これらの蒸気機関車が陳列されている瀋陽鉄路陳列館へと足を運んだ。


10年間訪問者を拒み今年開放



2005年に訪問したときは各機関車はビニールシートで覆われていた


 瀋陽市蘇家屯区にある同陳列館は、何度か移転をしている。1984年蘇家屯区に瀋陽蒸気機関車陳列館として開業後、2005年に鉄西区に移転。このときの蒸気機関車は雨ざらしにならないようにビニールシートで覆い被さっていた。



今の瀋陽鉄路陳列館。10年に開業したときは外には開放していなかった


 10年、今の蘇家屯区に移転したものの、瀋陽鉄路局の愛国教育基地として機能していたゆえ一般開放はしておらず、一部のイベントを除き関係者以外の立ち入りが認められず、はるばる遠くから来た外国人鉄道ファンですら拒絶してくる対応だった。


 そんな秘密主義として取られても仕方のない同博物館は、17年頃から入館の規制解除をはじめ、19年の5月より一般開放された。休館日である月曜日を除けば、身分証(外国人はパスポート)と入館料80元を払えば誰でも入れるようになったのだ。


同陳列館の入り口両脇には向かって左手に前進型、右手に人民型というそれぞれ装飾された蒸気機関車が置かれている


 建物専有面積8万㎡、展示館の建築面積1.9万㎡の同館には未展示の車両及び外に置かれた蒸気機関車2台を含め68台の蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車、客車、貨車といった車両が置かれており、このなかには大連沙河口で12両製造されたパシナのうち2台が保存されている。


パシナはやっぱりパシナだった


ここのメインの展示物のひとつ、パシナ。1949年以降は勝利7型の751として使われていた


もうひとつのパシナ(勝利7型757)。こちらは大連の機関区に眠っていたところを瀋陽に移転した。標識のアジア757が目立つ


パシナと並ぶ流線型のパシハ(勝利型8 811)。「はと」を牽引


 過去何度か入館を断られていたため、同陳列館が一般開放されたといっても本当に入館できるか心配だった。特に国慶節期間中は休みに入る施設もあるため、ここが心配だったが、受付でパスポートを見せ、80元を支払うとこれまでの拒絶が嘘のようにすんなり入れた。



展示室入り口は東風型のディーゼル機関車がお出迎え。これらのディーゼルは中国国内の非電化区間では現役で走っている


 ディーゼル機関車が置かれた正面から入って右手側は18台の蒸気機関車が置かれたA区、左手側が貨車のC区、客車のD区と分かれている。

 当然お目当てであるパシナの置かれているA区に行かずにはいられなかった。


 2009年ごろまで山東省で走っていた前進型や東北の片田舎で現在も稼働中の上游型、新疆のハミで今年こそ廃車になると言われ続けまだ石炭貨物として稼働している建設型、そして諸外国から持ち込まれた機関車の中に混じって、明るい水色と緑色のパシナ2台が鎮座されていた。それぞれ、(勝利)751号と(アジア)757号だ。

 全長約25mと大きく、巨大な真っ赤な動輪が目を引く。



A区展示車両の後方は階段を使って上からも見られる


 他の蒸気機関車とは異なる流線型のフォルムは、使われなくなってすでに40年近く経つものの、新しく塗装をしたおかげで一際目立つ存在へとなっていた。

 造られた当時は最高時速130㎞のほか、表定速度は82.5㎞で、日本国内で走っていた「つばめ」号の66.8㎞を上回っている。 また蒸気機関車から発する蒸気で空気を冷やし、車内に送るエアコンを採用していた画期的な機関車でもあった。

 他にも「パシハ」(勝利8型811)、「パシコ」(勝利5型 232)、「ミカロ」(上游型の前身モデル)といった蒸気機関車も展示しているので日本人は見る価値がある。


鉄道ファンにはたまらない路線駅紹介


かつては特急列車の展望車として使われたテンイネ2。今は公務車の名残


今は硬座のYZ5として展示されていたが、昔は2人がけのクロスシートだった


 C区の貨車とD区の客車はやはり70年以上前に運行していた車両がそれぞれ置かれている。特に客車は、70年前は展望者として使われ、その後は指導者用の公務車として活躍していたテンイネ2型や食堂車として使われ、後に工事用車両(維修車)として使われた食堂車のシ5型など活躍していた車両も展示している。


2002年ごろ世界を沸かせた中国独自開発の中華の星。しかし、頻繁にトラブルを起こしたため一時瀋陽北〜山海関で旅客運転を行ったあと、06年8月に運転を離脱。07年4月からはじまる本確的な動車組、高速列車は、世界のメーカーから技術を購入するしかなかった


 もっとも新しい車両を揃えるために模型そして製造した客車を揃えていたりするのは愛嬌。また、中国が和諧号や復興号といった動車組を導入する前に中国が総力を挙げて開発し頓挫した中華の星といった車両もあるため、中国鉄道が好きな方はこちらも見る価値がある。


瀋陽鉄路局の歴代の制服をマネキンに着せている

瀋陽鉄路局管内の路線と駅名紹介



 さらに車両展示の前方には、これまで瀋陽の鉄道が歩んできた苦難の歴史や歴代駅員の制服を着せたマネキンが数十体立つなどの展示方法がある。

 車両の方面には瀋陽鉄路局管内にある路線紹介と営業中のすべての駅舎も紹介しているので、路線・地図マニアにとってこちらも見ごたえがある。


館内には瀋陽鉄路局の歴史や線路の修繕の状況も展示している

改装中のため奥には入れなかったが、昔撫順で活躍していた通勤電車っぽいシルエットが見える




じっくり見学しても最低3時間は欲しい同陳列館。

瀋陽訪問の際はぜひ行ってみよう。


瀋陽鉄路陳列館データ

住所:瀋陽市蘇家屯区山丹街8号

電話:024-6207-7705、024-6207-7168

営業:9:00〜15:30(月曜休館日)

料金:80元

アクセス:瀋陽北駅からタクシーで約45分、60〜70元



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