【日中国交正常化50周年記念行事】総領事杯龍舟大会開催
去る9月24日、佛山市南海区九江鎮の九江龍舟訓練基地にて、総領事杯龍舟(ドラゴンボート)大会が開催された。選手とギャラリー合わせて前年の150名を上回る310名が参加した同大会は、在広州日本国総領事館、広州日本人学校、広州日本商工会、南海日商友誼会の4団体が南海区政府と協力し、同年9月29日が記念日となる日中国交正常化50周年に合わせて中国伝統行事である龍舟大会を企画した。前年同様、コロナ防疫政策に振り回されながらも見事開催を実現した同大会についてお届けする。
必死の形相でオールを漕ぐ広州商工会Dチームの選手たち
2回延期を余儀なくされる
大会開催にあたり前年同様懸念されていた新型コロナウイルス防疫政策は今年も当たってしまった。本来中国の端午節前に合わせた5月下旬に開催予定だった同大会も不穏なコロナ情勢のため7月に延期、ところが7月の開催直前に中止要請が来てしまい、涙を飲んで再度延期に踏み切った。そして3度目の正直となる9月24日ようやく開催することができたのだった。
朝8時過ぎに花園ホテル前で受付した参加者たちは割り振られた4台のバスに向かう
開会式挨拶で開催実現に安堵する亀井総領事
開会の挨拶に立った在広州日本国総領事館亀井啓次総領事は「商工会の担当の皆様がいろいろな日程を調整していただいてようやくようやく今日実現できました」と感慨深く祝辞を述べた。
広州日本商工会と南海区政府の間で錦旗と切紙の受渡しが行われた
300名を超える参加者らが集う集合写真
広州日本商工会の小泉大佑会長から九江龍舟訓練基地の朱処長に錦旗が渡され、南海区九江鎮の謝党委から小泉会長に切絵が渡されるなど、ほのぼのとした開会式も終えた。次は川岸でボートに備え付けられた2匹の龍に朱色の毛筆で目を点じる神聖な儀式・采青を行い、振る舞われた地元のお酒(実際は水)で大会の成功を祈って盛大に乾杯したあとは同基地のプロチームによる模範漕艇が行われた。
ボートの龍の目に筆で赤い点を付ける儀式の采青が行われたあと、大会の成功を祈って乾杯が行われた
このころになると参加者たちの表情から笑顔が消え、上位入賞を果たすために、「どうやってチームのタイムを上げていくか」、「どこで体力を温存してどこで発揮するか」など作戦会議なども見られた。
怪我をしないようにみっちりと準備運動
同基地のプロチームによる模範漕艇。オールを漕ぐ動きが揃っている
12チームが繰り広げるデッドヒート
12チーム227名の選手が参加した同大会。各チームは2班に分かれて練習をおこなったあと、午後から予選がスタート。200mコースのタイムを2回計測し、合計で一番短いタイムを記録した上位2チームが最後の優勝決定戦に参加できる。
左上から広州商工会Cチーム、広州日本人学校チーム、総領事館・JETRO・JNTOチーム、佛山チーム
22名乗りボートに各選手が乗り込む。思った以上にタイトなスペースのため窮屈な感じもするが、それ以上に上位を狙う各チームたちの静かなる闘志が会場をピリピリさせていた。
奮闘する各チームの予選シーンを写真でお楽しみください
太鼓の音にあわせて漕ぐ際大事なことはただ漕ぐだけでなく、他の選手との息をピッタリ合わせることである。例えば、午前中に行われた同基地のチームによる模範漕艇ではオールの漕ぎ方が惚れ惚れするほどピシッと統制されており、それが速度や好タイムに結びついている。
早いチームの動きを見ると、チーム全体のオールを漕ぐときの息がピッタリ合っており、水面から掬い上げる動きはまるで精密機械のよう正確な動きである。逆に遅いチームは折り返した後半から体力の消耗が目立ち、腕の動きもだいぶ鈍り水に入れるタイミングも少しずつずれてきている。
それでも参加者たちは動作の細かいことは気にせず、0,01秒でもタイムを縮めるべく必死の形相でボートを漕ぐ姿に船上での太鼓の音とギャラリーたちの熱い声援が飛び交った。
2回のタイムで上位4チームが決勝戦及び3位決定戦に出場できる
予選結果は1位が広州商工会Bチーム、2位が南海日商友誼会Bチーム、3位が南海日商友誼会Dチーム、4位が広州商工会Aチームだった。
決勝前には親子体験教室も開催された
混戦を制したチームは…?
そして手に汗握る優勝決定戦と3位決定戦の火蓋が切って落とされた。こちらは1本勝負で仕切り直しはない。決勝に出た両チームとも気合十分、最後の円陣で気合を入れていた。
泣いても笑ってもこれが最後のレース!選手たちの気迫が会場を包み込んだ
激戦を制し映えある優勝に輝いたチームは1分53の広州商工会Bチームで2位(1分63)の南海日商友誼会Bチームとは鼻差で競り勝った結果となった。
決勝終了後大会委員会から優勝の案内を受けて歓喜する広州商工会Bチームのメンバー
決勝データ
1位…1分0秒53 広州商工会Bチーム
2位…1分0秒63 日商友誼会Bチーム
3位…1分0秒92 日商友誼会Dチーム
4位…1分1秒94 広州商工会Aチーム
1位と2位との差は0.1秒の鼻差
亀井総領事より優勝トロフィー授与される広州日本商工会Bチームの伊理氏
表彰式で、優勝トロフィーを授与された広州商工会Bチームの伊理正人氏は「この度はこんなに盛り上がった大会で優勝させていただきありがとうございました。ライバルであるチームとは練習時代から切磋琢磨してやってまいりました。この成果が出ました!0.1秒上回りました。ありがとうございます」と喜びもひとしおだった。
閉会式での一コマ
市内で行われた懇親会で、小泉会長は「コロナという難しい状況下、300名という人数で開催する50周年行事は最大だと思います。『広州佛山南海連合やったぜ』という気持ちでやり抜きました。ありがとうございました!」と挨拶を行い盛大な乾杯が執り行われ、参加した選手たちはお互いの健闘を称え合った。
皆さん楽しんだ懇親会
各チームの今大会に対する感想のなかで、優勝した広州商工会Bチームの井口千貴氏は、「来年帰国して仕事に復帰するから広州で思い出を作りのため、絶対ドラゴンボートで優勝したいと思い、とにかく優勝優勝と思って練習も続けてまいりました」と感謝の気持を伝え会場をさらに盛り上げた。
9月29日に日中国交正常化50周年を迎えますが、まさにこの素晴らしい時期にやっていただき、総領事館として、日本と中国の関係にとっても非常に有意義だと思います。主催の一人である東口(和文)さんは延期の可能性がある時期何度も足を運んでいただき申し訳ない気持ちです。大会は友好が第一と言いながら、東口さんの勝負に賭ける熱意。執念で優勝を取ったという目出度い出来事。皆さんのおかげで50周年記念の大会を盛大に開催できました。(亀井総領事)
総領事杯龍舟大会
主催
広州日本商工会
協力
南海区九江鎮政府
九江龍舟訓練基地