查看原文
其他

【人民日報記者の訪日手記4】伝統と現代の衝突から生まれた国・日本

2016-04-27 人民網日本語版 人民网日文版


今回の日本行きで私を最も惹きつけたのは清水寺の古式ゆかしい風景や華やかに咲き誇る桜ではなく、東京近郊にあった小さな通りだった。その通りはショッピングセンターの近くにあり、まるで古い映画のワンシーンに入り込んだような錯覚を受けた。歩行者はまばらで、低い建物が整然と並び、中国の街ではすでに当たり前になっている宅配の三輪車も見当たらない。理髪店、書店、雑貨屋、郵便局といった小さく精巧な店舗が一軒、また一軒と並んでいる。これは京都の清水寺周辺のような観光客向けに修復された古い街並みではなく、普通の日本人が生活する普通の街並みだ。(文:丁剛人民日報社上級記者)

 

21世紀の今日、世界で最も忙しく、最も繁栄していると言われている東京にこのような伝統的でスローテンポな生活を送る町並みが残っているとは思いもよらなかった。そしてここに住む住民たちはこのような生活を望んでいることが明らかに見てとれた。

 

日本は歴史上2回、外国文化の劇的な襲来をうけて覚醒し、奮起した歴史がある。初めは7世紀の中国文明、そして19世紀の西洋文明の襲来だ。これにより後世の人々は自然と日本を世界で最も優れた模倣技術を有し、外部からのショックを内部の動力に転化させることを最も得意とする国であると認めるようになった。

 

中国の日本研究者の多くも日本文化が中国から影響を受けているというつながりに着目し、日本文化の中から中国との共通要素を重点的に探すというものが多い。中日の民間における関係改善の際に、人々が最も多く考えるのもこれらの点についてである。我々は日本はあらゆる文化の中で中国文化に最も近い文化で、最も共感を呼びやすい文化だという説をしばしば聞く。しかし結果としてはこの二つの文化は互いにぶつかり合って、結果的に総合的な作用を生じさせているのだろう。

 

中国人が日本に来て、まずびっくりするのが大通りや裏通りなどの公共の場が非常に清潔に保たれている点だろう。ゴミ箱は少ないものの、ゴミのポイ捨ては見られない。京都の清水寺の観光エリアで、私はある日本人が自分のリュックからビニール袋を出して、アイスの包装ゴミをそのビニールに入れて、再びリュックの中にしまい込むのを見た。

 


何が言いたいのかよくわからない京都のある自動販売機の上に書かれた中国語の広告。

 

日本人の衛生習慣もまた外国からの影響と無関係ではない。大規模な疫病から公共衛生システムと民族の衛生習慣を変えた例として最も典型的なのが日本だからだ。1858年、コレラに感染したアメリカ海軍の水兵が日本に病原菌を持ち込み、日本全土に疫病が瞬く間に広がり、3年間で計28万人の人々の命が奪われた。そのため、日本は西洋医学に対する禁令を解いた。それ以前、日本の医学知識は主に中国医学を範としていた。公共衛生の概念を西洋医学から日本社会に取り入れ、日本人の疾病と健康に対する認識を一新させたのだ。

 

1868年、明治政府は医療体制の改革を宣言。この改革は日本人の衛生観念の大変革を意味し、日本国民に公共衛生の大切さを認識させただけでなく、健康を保つことと優れた衛生習慣を保つこと、民族を強大にしていくことを連携させた。日本史を研究する米国学者スーザンバーンズ氏は「その時点から日本人は病気を個人のプライベートな事情であるという考えを捨て、民族の力と威信をこれらの新興の概念の中に取り込んでいった」としている。

 

戦後の社会の変化や制度の再建もまた日本文化の伝統を保護するための条件を作り出した。日本はどうして大規模な現代都市を建築しながら多くの伝統的なコミュニティを残したり復興させることができたのだろうか?

 

伝統的にみても、日本の末端組織の自己組織能力は優れており、米軍占領中に制度の構築をしてさらに日本の末端組織の人々の政治に参加する力を強化向上させた。米国学者のジョンホールの「日本の歴史」には「このように政治と社会の改革に注意した占領は一度もない」と記している。日本の文化評論家の加藤周一氏も日本の現代化は民主主義の原則を採用し、科学技術文明と日本の伝統文化の結合した形に過ぎないと考えている。加藤氏がいうところの民主主義の原則とはつまり戦後米国が主導で行った変革に関係がある。

 


駅の弁当屋に設けられている小さな手洗い場。

 

私は今一つ、現在の流行語である「匠の精神」を例にこの問題を説明しようと思う。日本滞在期間中、代表団のメンバーは日本人の匠の精神について感嘆し、討論することがしばしばだった。たった数日でも、私たちは日本人の生活と仕事に対する精緻さの追求が世界でも特別なことを感じていた。駅のそばにある小さな弁当屋のカウンターの左下にはわずか30センチあまりの大きさの手洗いが設置されており、旅館に置かれていた櫛は程よいカーブがついていて、ちょうど頭の形にそって髪をとかすことができる。歯ブラシのヘッドは小さく、口の中で小気味よく動かすことができる。全ての公衆トイレには消臭剤の小さな箱が設置されている。コーヒーカップには取っ手があるが、湯呑みには無い。その理由は手で湯呑みを触った時に熱いと感じない場合、湯呑みの中のお茶の温度はちょうど60℃前後、これはお茶の香りが最も濃く出る温度なのだという。木製の箸は、箸の先だけ細いのではなく、両側が細くできており、こうすれば一膳の箸で取り箸としても自分の箸としても使うことができるからだ。

 

生活の隅々まで精密さが無ければ、様々な業種の職人が高い精度を成し遂げるのは難しい。生活と仕事において精緻さを追求することを十分に広めるような体制が無ければ、伝統的な匠の精神は利潤の追求のため、消滅してしまうだろう。匠の精神とは道徳の産物であり、また体制の産物でもある。これは日本の現代製造業の魂であり、高い給与や多くの投資で得られたものでは決してない。

 

日本をイメージで見てはならない。現在日本に林立するビルは内外の力の総合作用のもとで築きあげられたものだ。現在の日本では今も中国文化の影響を受けた一面を探し出すことができるが、伝統と現代、伝統と外国からの襲来との融和、衝突から生まれたものも、さらに多いのだ。

 

日本を訪れる中国人観光客の多くが、多くの漢字を目にしてほとんどが親近感を覚え、知り合いを見つけたような気持になるだろう。しかしこれはイメージに過ぎない。一方で我々は日本を米国に尾をふり「付き従う従僕」に過ぎないとみなし、対米関係を解決すれば、対日関係も問題ないと考えた場合、日本の認識という点で問題が生じるに違いない。

 

中国は日本を甘く見てはならない。むしろ小国にして強く、細やかで精緻な隣国を鏡に、自己を反省し、変えて、向上させなければならない。「ジャパンアズナンバーワン」の著書で有名なアメリカの「中国通」エズラFヴォーゲルは「中国は経済で驚くべきスピードで発展させて世界を驚かせ、日本にとってかわってGDP『世界第2位』となった。GDPで日本を越えたものの、中国は発展していく過程で『米国よりも優れた点』ではなく『米国の良くない点を学ぶ』ことが無いように依然として日本に学ぶ必要がある」としている。


おススメ

  

【人民日報記者の訪日手記1】初めての訪日に思う、中国人は日本を知り始めたばかり

【人民日報記者の訪日手記2】日本経済はそれほど深刻か?GDPから見たもう一つの日本

【人民日報記者の訪日手記3】日本の民意が安倍氏の対中国政策を生み出したのか?



本微信号内容均为人民网日文版独家稿件,转载请标注出处。




您可能也对以下帖子感兴趣

文章有问题?点此查看未经处理的缓存