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北上するゾウの群れ 注目すべきポイントとは?

人民網日本語版 人民网日文版 2021-06-10

 雲南省でアジアゾウの群れが北に向かって移動を続け、世間の注目を集めていることについて、西双版納(シーサンパンナ)傣(タイ)族自治州の国家級自然保護区管理保護局保護区科学研究所の郭賢明所長がこのほどインタビューに応じた。郭所長は、管理保護局が立ち上がって3年目となる1989年から32年間にわたって、同研究所で研究を続けてきた。


ポイント1】

保護区から離れれば離れるほど高まる人とゾウのリスク

現在、2つのゾウの群れが移動を行っており、1つは北上し、もう一つは南下している。南下中のゾウの群れも、保護区からすでに出てしまっているものの、その動きを常に監視しており、毎日周辺の村などに警報を発令するといったことを行っている。北上している群れに関しては、10人からなる作業グループを派遣し、指揮部の監視作業をサポートしている。しかし、ゾウの群れがいつ保護区に戻ってこられるのかは、誰にも分からない。保護区から離れれば離れるほど、人にとっても、ゾウにとってもリスクが高くなるため、早く戻ってきてほしいと思っている。万が一、死傷者が出るようなことがあれば、ゾウに対して非常手段を用いなければならないかも知れず、我々としてもなんとも言えない。今一番心配しているのが、死傷者が出てしまうことだ。シーサンパンナタイ族自治州に住む人々は、長年ゾウと共存しているため、どう対処すればいいか知っているが、雲南省の玉渓や昆明の人々にはこういった知識がないからだ。


【ポイント2

「偏食」がゾウに及ぼす影響は?

シーサンパンナタイ族自治州には、アジアゾウのエサとなる植物が非常に豊富だ。しかし昆明にはエサとなるような植物がどれほどあるのかわからない。またそれ故、ゾウたちはしばしば田畑に姿を現しているのだろう。南下している群れは、ほとんどの時間をパイナップルやバナナ、トウモロコシなどが植えられている畑で過ごしている。これらの野菜や果物をお腹いっぱい食べたところで問題にはならないが、ゾウというのは雑食な上、非常に色々なエサを食べ、異なるエサがゾウの身体的機能に異なる作用を及ぼす。そのため、もし長期間にわたって、3~5種類ほどのエサだけを食べ続け、しかもそれら全てが、人間が食べるために糖分やカロリーが高くなるように育てられた野菜や果物であった場合、人間のように糖尿病や高血圧になってしまうことになるのかという点に関しては、今後の研究を待たなければならない。


【ポイント3】

24時間監視はゾウのストレスに

ドローンは音を発するため、初めてドローンを目にしたゾウの群れは、特に怖がった。ドローンが頭上に飛来してくるのを目にしたゾウたちはパニックになって走り回った。しかし、何度か目にするようになると、怖がらなくなるだけでなく、ドローンを目にするや、鼻で木の枝などを掴み、ドローンに向かって投げて攻撃してくるゾウまで現れるようになった。

北上中のゾウの群れは、ドローンで24時間監視しているが、良い方法ではないと思う。ドローンだけでなく、数百人の人間が1日中周囲にいる状況は、ゾウのストレスとなり、眠ることもできないか、たとえ眠ったとしても、ゆっくり眠ることはできないだろう。こうした状況が長く続けば、ストレスから参ってしまうかもしれない。ゾウが林の中に入った際には、ゆっくり休ませ、ずっと付け回すべきではない。問題を起こすゾウがいれば対処しなければならないが、林の中に入ったら、放っておいた方がいいだろう。24時間常に監視されるのは、ゾウにとっても負担でしかないからだ。


【ポイント4】

アジアゾウはイヌが大嫌い

アジアゾウは、「攻撃される」と感じると非常に怒りやすい。オスは発情期が最も危険で、数十メートルから百メートル以内にいるものを「危険」と見なし、攻撃してくる可能性がある。そして子ゾウがいる群れは、子ゾウを守らなければならないという意識が非常に強いため、ちょっとしたことでも怒り出す。また、ゾウに反抗心を抱かせてしまうため、囲むようにして観察したり、追いかけたりすべきではない。ゾウが人間を攻撃しようとする時は、鼻を高く上げたり、耳を立てたりする。

アジアゾウにはイヌを特に嫌うという特徴もある。シーサンパンナタイ族自治州の多くのゾウはイヌを特に嫌っており、イヌを目にするや、踏み殺そうとするほどだ。これまでゾウが人を殺してしまったケースが何度もあったが、こうしたケースを調べたところ、どれもイヌがその原因だった。監視カメラの映像を見ると、イヌが吠えると、ゾウがやって来てイヌを殺そうとする。そして、ゾウに追いかけられたイヌは、飼い主に向かって走り出し、巻き込まれた飼い主もゾウに殺されてしまうといった具合だ。


【ポイント5】

北上は自然な個体群分散の可能性も

保護区にしても、アジアゾウの生息地にしても、これらは人間の主観的な意向から、野生動物のために設定したエリアであることを忘れてはならない。しかしゾウのような大型の動物は、エサがあり、生存に適した場所であれば、どこでも生息地と見なす。そのため、人間の考えをアジアゾウに押し付けるというのは非現実的な話だ。

ゾウの北上は一つの傾向ともいえる。1997年ごろ、ゾウ5頭からなる1家族の群れがシーサンパンナタイ族自治州から、雲南省普洱市に移り住んだ。ゾウの群れが普洱市内に移動したのはそれが初めてで、その群れはそこからずっとその一帯に住み着いている。その後、シーサンパンナタイ族自治州から普洱へと移動するゾウが少しずつ増えていった。しかしこれらのゾウは、普洱とシーサンパンナタイ族自治州を行き来するだけで、それ以上遠くへは移動していなかった。

そのため、私たちも今回アジアゾウ15頭が普洱市の景谷県まで移動して初めて、「なぜこんなに遠くまで移動したのだろう?」と、警戒し始めた。以前にもこれほど遠くまで移動するゾウがいたが、単独での移動だったからだ。

今回のゾウの北上は、自然な個体群の分散である可能性もあるし、新たな生息地を求めて移動している可能性もある。当初は、エサの問題だと考えていた。しかし、今では、エサの問題だけではないと考えるようになっている。ゾウが今移動しているエリアには、シーサンパンナタイ族自治州ほど豊富なエサはないからだ。

シーサンパンナタイ族自治州のアジアゾウは、1980年代から90年代頃の約170頭から、少しずつ増加し、今では約300頭になっている。その個体群が一定の規模に達すると、野生動物は本能的に分散し、生存に適した新たな環境を探し求めるようになる。しかしその個体群が分散するからといって、シーサンパンナタイ族自治州のキャパシティーを超えたというわけではなく、そうしたエビデンスもない。

エサのほか、生息地には水源も必要となる。アジアゾウは水遊びをするのが好きな動物だからだ。また、生息地は小さすぎる場所でも、急な坂になっている場所でもだめだ。ゾウが普通に移動できるのは傾斜が30度ほどの坂で、それを超えると移動が難しくなる。ゾウが最も好むのは傾斜が10度以下の場所だ。その他、アジアゾウが生息しているのは、通常標高1000メートル以下の場所。1300メートルの場所に生息していることもまれにあるものの、それを超えることはほとんどない。今回は全くの想定外で、今は標高2000メートル以上の場所にいる。


【ポイント6】

道に迷ったわけではない

これまでゾウは夜行性だと考えていたが、現状を見ると、昼も夜も活動している。ゾウの活動時間は1日18時間で、睡眠時間はわずか4時間ほど。日中にゾウを見かけることがますます増えている。これは人間に対する警戒心がますます弱まっているからだろう。

昔は太鼓を叩いてゾウを追い払っていたが、しばらくすると効かなくなり、爆竹を使うようになった。しかしその効果が続いたのもほんのわずかな間で、その後は花火を使うようになった。ゾウのいる所に向かって花火を打つと、初めは効果があったが、しばらくすると、花火を使っても攻撃してくるようになった。ゾウはとても頭が良く、そのIQは5‐6歳の子供並みなので、すぐに適応してしまう。ゾウは記憶力もとても優れているため、今回の件でゾウが道に迷ったという人もいるが、私たちはそうは考えてはいない。ゾウは通ったことがある道は必ず覚えているからだ。


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