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【BizAiA !特集】激変する中国の消費市場 前編

邦人NAVI 2021-12-05

新小売が既存の業態を駆逐する

激変する中国の消費市場 前編


中国では「新小売」(ニューリテール)と呼ばれる新たな小売の形態が雨後の竹の子のごとく生まれている。グローサラントと呼ばれる業態に注目が集まるほか、コーヒー業界ではスターバックスの存在を脅かす新たな勢力が登場してきた。一方、顔面認証、RFIDといったハイテク技術の活用で、多店舗展開を始めた無人コンビニの動向も気にかかる。無人ベーカリーや無人銀行等、「無人化」の潮流が顕著になっている。

 

グローサラントの新勢力「地球港」

グローサラントという、食料品(grocery)とレストラン(restaurant)を掛け合わせた言葉がある。米国を発祥の地とし、スーパーでありながらレストラン級に食事もその場で楽しめるという業態を指す。日本ではイオングループなどが展開していることで話題だが、そんな「グローサラント」が中国でもいま増えている。


8月17日に大連に登場した「地球港」もその一つで、業界では後発のブランドである。Eコマースを牽引してきたアリババ・グループの「盒馬鮮生(フーマフレッシュ)」や京東の「7Fresh」、あるいはスーパーの多店舗展開で高いプレゼンスを保ってきた永輝超市の傘下にある「超級物種」とも性質が異なるのは、同ブランドが、オンライン、オフラインともに実績もなく、突如現れたダークホースだからだ。


中国式グローサラントが持ち前とするのは、「高級スーパー」「特色あるフード」「ハイテク」の有機的な結合にある。生けすで泳ぐ鮮魚をその場で調理してくれるサービスは象徴的なものだが、注目すべきはカルフールやウォルマートで一般的な光景となっているカートを押しながら買い物をする消費者が少ないことだ。アプリでスキャンしてオンライン上のショッピングカートに商品を入れ、支払いを終えれば宅配サービスを利用して指定場所に送り届けてもらうことができる。まさに消費者の商品選択、オーダー、支払い、商品のピックアップが消費者の思いのままだ。


地球港もスタートアップの段階からクラウド・コンピューティングのシステムの構築に着手し、テクニカル面で強力なバックアップ体制を築いてきたと報じられている。店舗内の電子スクリーンで表示される内容や電子値札タグはアプリのデバイス上の価格と同期化が行なわれ、オンライン、オフラインの別なく、同じ条件で買い物を可能にするなど、安心、快適な購買体験が保証されている。


「地球港」大連1号店では、店内に休憩スペースとして路面電車の模型が設置されているほか、ライブ演奏スペースなどもある。イートインコーナーには国際色豊かなグルメが楽しめ、親子連れの客層にも配慮した設計となっている。


なお、地球港が創業から8か月の間に開設した店舗は、北京・青島・大連の5店舗。このほど大型融資もとりつけ、年末までに30店舗の開設を目標としているという。


コト(体験)型消費と「新小売」

一昨年(2017年)は中国で新零售元年に当たるとされる。「新零售」とはネットとリアルを統合した小売サービスを指し、日本語では「新小売、ニューリテール」と訳される。オンラインとオフラインの融合を通して消費者のショッピング体験をアップグレードしようとする試みだ。


このコンセプトを提唱したのはアリババ・グループのジャック・マー(馬雲)氏で、ライバルの京東では「無界小売」、蘇寧やテンセントでは「スマート小売」、ネットイーズ(網易)では「新消費」というように異なる呼称で定義されている。ただ、小売業界で進む大きな変革のもとで生まれる新しい業態やサービスという意味で、これらは同一のものととらえて差し支えないだろう。


ビザイア第6号ではリアル書店の復興について紹介したが、消費が一段とアップグレードすると、人びとは単に物を手に入れるための目的ではなく、体験とサービスを求めてくる。「新小売」も、ネットスーパーの利便性とオフラインでのコト(体験)型消費が融合し、それぞれの優位性を発揮することで消費者のニーズに対応していく。


そもそもEコマース(EC)のリテールではチャネルと価格面で優位性があるほか、プラットフォームの技術的なアドバンテージがあった。たとえばビッグデータ、クラウド・コンピューティングといった具合だ。


しかし、EC大手の「淘宝網」(タオバオ)上でEコマースのアパレルブランドとして消費の主力を占めた茵曼(INMAN)、韓都衣舎(HSTYLE)よりも、ユニクロ、ZARAといったオフラインのブランドのほうが人気を博すようになって久しい。


そんなECだけではカバーできない人びとのマインドに対して、EC界のカリスマであるジャック・マー氏は早い段階で気づいていたと言える。今年春に自らのお膝元である杭州にオープンさせたショッピングモール「親橙里」はまだ壮大な実験段階の域にとどまっているとされているが、生鮮スーパー「盒馬鮮生」はすでにビジネスモデルの実証段階がクリアしたと見てよいだろう。居住人口が多く、地価が高めの住宅区からほど近いロケーションをメインに店舗を増設する動きにアクセルがかかっており、2018年8月現在、「盒馬鮮生」の店舗数は上海に20店舗、北京に13店舗、全国では66店舗を数えている。


ECも成長鈍化で転換期に

小売業界をめぐる栄枯盛衰は激しい。一般的には伝統的な販売手法に頼ったリアルショップが劣勢に立たされている現状を伝える報道が多い。振り返れば2000年代前半が中国でリアルショップが最も繁栄を見た時期に当たるだろう。液晶パネルで戸外広告を打ち出すフォーカスメディアが脚光を浴びたのは2005年だ。


しかし、その後、ジャック・マー氏がCtoCの淘宝網とは別にBtoCをターゲットに開設した「天猫(Tモール)」の攻勢で、大規模ブランドのフラッグショップが次々とネットに参入を始めると、オフラインのブランド店やチェーン店は大きな打撃を受け、続々と閉店に追い込まれていった。もちろん、Eコマースの躍進のみならず、中国経済の減速や賃料コストの上昇、人びとの購買習慣の変化等の要因もあるだろうが、多くの小売企業が売上高と利潤を下降させていったのが現状だ。


もっとも、小売企業とて指をくわえているだけではない。カルフールはテンセント(Tencent)と中国スーパーマーケット大手の永輝超市(Yonghui Superstores)と提携し、世界初のスマートスーパー「ル・マルシェ」を上海市にオープンさせている。同店舗では、テンセントのアプリ「微信(WeChat、ウィーチャット)」を使い、レジ不要の決済が実現。支払い履歴を示すQRコードを店員に見せて、店員側の端末で読み込んでもらえばそのまま出口のレーンを通り抜けられる仕組みになっているという。


このようにリアルショップがテクノロジーの取り込みで生き残りを図る一方、好調に見えるECの側も実は転換期を迎えていた。


中国商務部、工信部が公表するデータによると、中国のネットショッピング人数の増加スピードは4年連続で減少しており、その増加率は4年前の20%から10%に下落したという。実店舗によるリテールと比べて、Eコマースは十分なショッピング体験を与えてくれない──そんな自覚が伝統的小売と同じくEコマースのリテール業の側にもあり、突破口の模索へと突き動かす。それがすでに紹介した「新小売」「無界小売」等の提唱へとつながったのだといえよう。


ちなみに「大潤発」「欧尚」に代表される小売業のリーディングカンパニーはいまやアリババ・グループの一員だ。ローカルの報道によれば、アリババ・グループが過去4年間で投資した金額は735億人民元(約1兆1964億円)と言われ、すでに中国最大のオフライン・リテール業者となっている。

 (後編に続く)



近藤修一(こんどう・しゅういち)
KumeTech大連(BizAiA!グループ)副総経理
「HeyNanaco」総経理

中国・大連市在住。静岡県出身。信州大学卒。1994年、上海に語学留学。98年に現地パートナーらとともに日本人向けパソコン事業に携わる。2002年10月に中国全土でフリーペーパー事業を展開するメディア漫歩グループに入社、その後、「Whenever BizCHINA」(現名称)、「インサイトチャイナ」編集長、「ミャンマー・ジャポン」編集長、「Whenever大連」編集長などを経て、2018年11月より現職。



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