大連の“小京都商店街”が改名、目指すは「万国よろず屋横丁」!?
ひっそりと運営再開
昨年夏、鳴り物入りでオープンしたもののネット攻撃にさらされてあえなく1週間で営業停止に追い込まれた大連の「盛唐・小京都」。コンセプト変更を経て再び正式オープンにこぎつけた2月2日は多くの来客でにぎわったという。
ただ、このことを報じたメディアはせいぜい「日経中文網」ぐらいだ。あたかもネットユーザーの関心が北京冬季五輪の開幕やコロナ動向に釘付けになるタイミングを見計らったかのごとく、静かなスタートとなった。SNSもこの話題をスルーしており、大連市の文化観光局はもとより、当の運営企業でさえ目立ったアピールを行っていない。
新名称「金石万巷」に賛否両論
さて、再オープンにこぎつけた同施設が冠した新名称は「金石万巷」だ。日本の色彩を薄め、中国や北朝鮮、ロシア、モンゴル、イタリアなどの物販店や飲食店が集う、文字通り“よろず屋横丁”といった体裁を見せている。
「金石」はむろん「金石灘」のブランドにあやかった。「金石灘」は中国が定める観光地のランクで最も高い「5A」に評価される。それゆえマーケティングのうえでは定石とも言える命名かも知れない。ただ、「小京都」はおろか「盛唐」の看板を下ろしてしまったことを残念がるネットユーザーは少なくない。
「元の名称(盛唐小京都)でどこが悪いのか?」
「やはり“小京都“のほうが良かった」
「“長安新街“といった名前にはできなかったのか」
「そもそも唐の長安に倣った建築物なのに改名の必要があったのか」
......(ネットの書き込みより)
「文化観光」コンテンツを模索
新型コロナの流行や国際イベントの縮小等、近年、向かい風が続いた大連の観光業にとって、「盛唐・小京都」は本来なら格好の起爆剤となるはずだった。しかし、過剰に日本のイメージを象徴するものと一部のネットユーザーに見なされてSNSが炎上、図らずも営業の一時停止に追い込まれてしまったのは周知のとおりだ。
それだけに、同市の文化観光局(大連市文化和旅游局)も、空振りに終わったコンテンツの復活をPRすることにあまり積極的ではないようだ。同局が運営する微信公衆号でも、「金石万巷」について触れた記事は現時点(2月12日現在)では探し当たらない。
Facebook運営など対外宣伝を強化
大連市の文化観光局はいま、「ロマンチック大連(Romantic Dalian)」をスローガンに、日本語、韓国語、英語、ロシア語の4か国語でFacebookページを開設し、情報発信を行っている。そのほか、オフシーズン観光市場の発掘のために、(オミクロン株の感染拡大による渡航規制で不発に終わったものの)“雪のない”華南地方に向けて「温泉とスキー」といった大連ならではの魅力を訴求するなど活発な宣伝活動を行ってきた。
さらに、「大連市201路電車沿線昇級改造旅游専項規劃」(大連市・路面電車201路沿線のアップグレードと改造についての旅行専門項目に関する計画)を基本方針として、大連盛和塾企業商会と共同で「201路」沿線のグルメスポットを選出するコンテストを行ったり、北京冬季五輪とリンケージさせたイベントを電車内で行ったりするなど、さまざまなイベントを行っている。
「多文化」路線との狭間で
大連市は中国本土で、路面電車の歴史を中断することなく保ち続けている唯一の都市だという。それだけに「温故知新」のアプローチからこれを“文化観光”の入り口とする試み自体はユニークだ。
ただ、201路を走るDL3000型電車は1935~38年に日本車輛が製造した「旧501型」をベースにしたものと喧伝されている。それだけに、”日本色”を薄めざるを得なかった「盛唐・小京都」の二の舞にならないだろうかと一抹の不安を感じるのは筆者だけではないだろう。
では、ここでも「多国籍路線」に入ればよいかといえば、和風の建築物でロシアの物産を販売するというコンビネーションにはやはり違和感を覚える。“なんでもござれ”と軸が定まらず、単に舶来物を寄せ集めた「よろず屋」を演出するだけでは元も子もない。
やはり異文化との衝突のなかで新たな価値が創造できてこそ、「ロマンチック大連」や「東アジア文化の都」というスローガンも生きてくる。日中国交正常化50周年を迎えた今年、大連市が観光市場でどのようなプレゼンスを示していくのか注目していきたい。(文・耕雲)
出所:
“盛唐~小京都”更名“金石万巷”
大连网事 2022-02-06 12:48
https://mp.weixin.qq.com/s/ow6KzN8EgAmnfBveY7jwQA#loaded
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https://mp.weixin.qq.com/s/KIw7vorpewV8wav5ZQ91qA
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https://mp.weixin.qq.com/s/HaTlGDF5TwNiZ-sliytRjg
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https://wlj.dl.gov.cn/art/2021/12/20/art_2056_1994420.html