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“経営の神様”の訃報を中国ネットはどう伝えたのか?

邦人NAVI 邦人NAVI 2022-09-10




昨月24日に逝去された稲盛和夫氏への追悼の声が中国でいまだ絶えることがない。訃報が伝えられたのは8月30日。京セラのニュースリリースでは通夜および葬儀は近親者を中心に執り行われ、訃報の公表が法要後になったことが明かされている。“レジェンド”とも言われた故人を偲ぶ記事が集中したのは翌31日から9月初頭にかけて。微信公衆号からいくつか目を引いたものを取り上げ紹介する。

▶“中日友好の使者”と絶賛
稲盛氏による数多くの著書を翻訳し、中国国内で稲盛フィロソフィーの発信塔を担う稲盛和夫(北京)管理諮詢は、「盛和塾(shengheshu2018)」公衆号で稲盛氏が遺した貴重な「精神的遺産」の数々を紹介している。

董事長の曹翠雲氏は稲盛氏逝去の報を受けて間もない時期に発信した公衆号記事で、稲盛氏の哲学が「純粋な理想主義と徹底した現実主義が見事に融合」したものだと説明し、若者世代に稲盛哲学の世界に誘う。

一方、「中日両国の友好交流・協力の推進に積極的に貢献した」と中国外交部の趙麗健報道官が8月31日に定例記者会見で語ったように、稲盛氏が「日中友好の使者」としてレガシーを遺したことにも触れた。稲盛氏は、中国西部の教育振興を目的として今世紀初頭に「西部開発奨学基金」を設立している。

🔗【讣告 | 一切始于心,终于心,稻盛和夫先生一路走好!】

▶ひとつの時代の終わり
稲盛和夫氏は1932年生まれ。中国で稲盛氏は松下幸之助、盛田昭夫、本田宗一郎と並ぶ日本の「経営四聖」と呼ばれている。4人がすべて故人となったことを受け、日本経済に対していささかペシミスティックな見解を示したのが「東方新報」だ。

同公衆号は、日本(企業)研究院常務理事の陳言氏によるコメントを借りながら、稲盛氏が他界したことは、家電、半導体、自動車の製造を中心にした日本独特の企業経営や世界市場における大量販売という発展モデルが隆盛を誇る時代が終焉したことを示すとしている。

日本企業は現在、経営システムの革新や新しい産業システムの構築を手掛けなければならない重要な転換期におかれている。それだけに、稲盛氏が他界したことの損失は大きく、日本の産業界の影響力は国際社会でさらに低下するのではないかと危惧する。


🔗“稻盛时代”谢幕,日企辉煌或终结?

▶”ダム式経営”のエピソード
日本のメディアで紹介された稲盛氏にまつわるエピソードにはユニークなものもある。「中国経済新聞」を発信する(株)アジア通信社の代表取締役社長・徐静波氏は日本での報道から目を引く話題を抜き出して紹介している。

ひとつには、稲盛氏の“一流”と言われる接待方法の話題だ。京セラが支援を始めたプロサッカークラブ「京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)」にラモス(瑠偉)氏をスカウトしようと、稲盛氏が食事に誘ったことがあり、その場所というのが和食ファストフードの吉野家だったという。

同席していたのが「俺のイタリアン」等を展開する俺の株式会社 名誉会長の坂本孝氏で、彼はこのときのできごとをプレジデント・オンラインで次のように綴っている。

ーーあるとき、稲盛さんがサッカー選手のラモス(瑠偉、元サッカー日本代表)さんを食事に誘ったのですが、訪れたのは牛丼の吉野家だった。最初はそれぞれ「並・ツユだく」を食べ、その後「牛皿」1皿を追加して2人で食べた。一つずつ食べていくと最後の一切れが残る。稲盛さんは「どうぞどうぞ、お食べください」と勧めるわけです。そこまで言われたら、相手は食べますよ。残った一切れを自分にくれたことに恐縮しながら。――

徐氏はこのほか、稲盛氏が中国出張の際に、街の露店で売られている焼き栗を値切り倒そうとしたものの店主に断られ、結局迷ったあげく買わなかったというエピソードにも触れた。

"倹約 "を根幹とし、世界的な企業になっても戒めを忘れないとする京セラの理念。松下幸之助氏が提唱したダム(式)経営(蓄水経営)は稲盛氏によって大輪の花を咲かせた。「京セラ」は7年間に1円の利益がなくても潰れることがない日本有数の“金持ち”企業だというのが通説だという。


🔗稻盛和夫创立的公司为啥年年盈利?

▶人生と経営の訓戒
「創業家」微信公衆号では、「告别稻盛和夫:越是美好人生,越需要简单智慧」というタイトルの記事で、稲盛氏の哲学が注ぎ込まれた金言、至言を紹介している。人生、仕事、困難に面したときの心の持ち方について整理するとともに、人生訓としては「6つの精進」を、経営者への戒めとしては「経営の12か条」を紹介した。

では、「6つの精進」「「経営の12か条」とはなにか。以下、中日対訳で紹介する。

【6つの精進|稻盛和夫六项精进】

1、付出不亚于任何人的努力。|誰にも負けない努力をする

2、要谦虚,不要骄傲。|謙虚にして驕らず

3、要每天反省。|反省のある毎日を送る

4、活着,就要感谢。|生きていることに感謝する

5、积善行、思利他。|善行、利他行を積む

6、不要有感性的烦恼。|感性的な悩みをしない

【経営12か条|稻盛和夫经营12条】

1、明确事业的目的意义。| 事業の目的、意義を明確にする

2、设立具体的目标。| 具体的な目標を立てる

3、胸中怀有强烈的愿望。| 強烈な願望を心に抱く

4、付出不亚于任何人的努力。|  誰にも負けない努力をする

5、销售最大化,经费最小化。| 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える

6、定价即经营。|  値決めは経営

7、经营取决于坚强的意志。| 経営は強い意志で決まる

8、燃烧的斗魂。|  燃える闘魂

9、临事有勇。|  勇気をもって事に当たる

10、不断从事创造性的工作。| 常に創造的な仕事をする

11、以关怀之心,诚实处事。| 思いやりの心で誠実に

12、保持乐观向上的态度,怀抱梦想和希望,以坦诚之心处世。| 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で


🔗告别稻盛和夫:越是美好人生,越需要简单智慧

▶中国の若者は稲盛氏を誤解?
「稲盛氏はなぜ中国の若者に嫌われるのか?」(稻盛和夫去世:一代日本经营之神,为啥被中国年轻人憎恶?)ーーそんな衝撃的なタイトルを掲げていたのは「最华人」 公衆号だ。

もっとも、稲盛氏への批判を意図した内容ではない。むしろ稲盛氏をあたかも“PUA”とみなすような声があれば、それは大きな誤解であり、真っ向から否定すべき見方だとする。

PUAとは“ナンパ師”や”ナンパ師が使う技術”を意味する“Pick Up Artist”という英語 の頭文字で、中国のネット用語となっている。“996”といわれる長労働時間を中国に浸透させたPUAこそ稲盛氏なのだとみなす若者に、それは稲盛氏の本意を履き違えていると諭しているのだ。

たしかに経営者の中には、富を得たのはすべて個人の創意工夫と努力によるものだと思い上がる人もいる。容赦なく若者を搾り取り、長時間労働にあえぐ若者たちの苦境に共感しない人もいる。

それとは反対に稲盛氏が説き続けてきたのは「敬天愛人」だ。敬天とは“天道に従って人とともに善をなす”、愛人とは”利他の心を持つ”ことだ。当公衆号では“君子の徳”を貫いた稲盛氏への敬意を示している。

▶精神的遺産は未来に継承
任正非氏(ファーウェイ)、ジャック・マー(アリババ)、張瑞敏(ハイアール)、雷軍(シャオミ)など稲盛和夫氏の経営哲学への信奉を公言する企業人は少なくない。

稲盛氏の思想が中国の企業家に与えた影響がいかに絶大であるかが容易に察せられる。ネットカフェのチェーン「西西佛」の微信公众号では、稲盛氏を称える有名人の言葉を紹介している。

たとえば、学者、翻訳家、文学者として名高い故・季羨林氏は、「70、80年間という年月で観察しても、企業家であり哲学者であるというのは極めて稀であり、稲盛氏がパイオニアである」と絶賛する。

まさに稲盛哲学は経営哲学だけではなく人生哲学でもあるというわけだ。稲盛氏の著作はビジネスに携わらなくても読む価値がある。最後に中国で500万部のベストセラーとなった「活法(生き方)」をはじめ、稲盛氏が遺した精神的財産が得られる名著をいくつか紹介しておく。(耕雲)


🔗稻盛和夫去世:一代日本经营之神,为啥被中国年轻人憎恶?

《活法》
『生き方 人間として一番大切なこと』

多くの人が自分の不幸を運命のせいだと思うだろうが、稲盛氏は著書『生き方』の中で、「人間の運命は神によってあらじめ決められた軌道を走るものではなく、人間の意志次第で良くも悪くも変化するものだ」と主張している。私たちに起こることはすべて、私たちの心が作っている。

では、生きる意味とは何なのか。日本の「経営の賢人」は著書の中で、"心を磨き、魂を磨く "と短い言葉で答える。

この本の中で稲盛氏は、現在の混沌とした時代をいかに生きていくべきか指針を与えてくれる。美辞麗句で飾り立てるわけでもなく、高尚な説教で人をひれ伏させるのでもなく、心を込めたシンプルな言葉で、簡明な哲学を語ってくれる。ビジネスマンは企業発展の真の道を学び、一般人は「人の道」の最高峰を感じとることができる。


《干法》
『働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」』

現代における「最高の働き方」とは何か。「なぜ働くのか」「いかに働くのか」──混迷の時代だからこそ、あえて「労働が人生にもたらす、素晴らしい可能性」を問いかけるのが本書だ。「人生において価値あるものを手に入れる方法」「平凡な人を非凡な人に変えるもの」、そして「成功に至るための実学」──。稲盛氏は「本書を通じて、一人でも多くの方々が、『働く』ことの意義を深め、幸福で素晴らしい人生を送っていただくことを心から祈ります」と希望を寄せる。管理職になる人、社会に出る人、就職を目指す人、必読の書!


《心・稻盛和夫一生嘱托》
『心。人生を意のままにする力』

すべては“心”に始まり、“心”に終わる。当代随一の経営者がたどりついた、究極の地平。順境にあるときも逆境にあるときも、稲盛和夫は問いかけを忘れなかった。創業した小さな町工場が大きくなるにつれ、「何のために起業するのか」を考えるようになった。フォーチュン500社に名を連ねる2つ目の会社を立ち上げたとき、「なぜ、誰もが成功しにくいと感じるような新しいビジネスを始めるのだろう」と自問自答。日本航空の救済に当たったときは「なぜ、素人の自分が、全く関係のない事業を救うために、全く新しい分野に踏み込むのか?」と問いかけたという。

こうした問いかけを重ね、とどまることなく考え抜き、そして飽くなき努力を続け、レジェンドといわれる人生を成就させた稲盛和夫氏。氏が世に託すのは、利他、感謝、謙虚、知足、強靭な心、正しい道の貫徹、常に良い心を養うこと、そして積極的な実践で誰もが自分の望む幸福を得ることができるというメッセージだ。

(※書籍の紹介文は「西西佛」公衆号のほかAmazonサイトを参考。)


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