タイと中国の相互ビザ免除が3月から発効、訪中ビザ免除のゆくえは?
T O P I C
中国中央電視台の報道によると、中国とタイで相互ビザ免除協定が締結された。旧正月(春節)を目前に控え、複数の国が中国人観光客に対するビザ免除政策を実施しており、今後の日中両国のビザ政策にも影響を与えそうだ。なお、中国人の旅行需要は国内市場が好調な一方で、海外旅行については本格的な回復に至っていない現状がある。
中タイ間で相互ビザ免除
中国中央電視台の報道によると、現地時間の1月28日、中国とタイはバンコクで相互ビザ免除協定に署名した。この協定は2024年3月1日から発効する。タイ以外にもマレーシア、シンガポール、スリランカなど複数の国が中国人観光客に対するビザ免除政策を発表している。背景には海外旅行に出向く中国人観光客を呼び戻し、観光業のテコ入れを図りたい事情がある。
旅行消費スタイルが変化
海外旅行に出向いた中国人観光客の数は2019年に通年で1億5500万人を数えたが、2023年上半期は4000万人にとどまった。タイを例にとると2019年に同国を1100万人の中国人観光客が訪れているが、2023年は309万人に過ぎず、元旦連休の期間でも8万人と大幅な減少を見せた。日本や韓国の旅行市場にも影響を与えており、済州島や大阪など人気都市でも観光客の数は伸びていない。結果として航空券価格の大幅な下落を招いたかたちだ。
こうした背景には中国人の消費観念の変化による影響が大きい。以前は海外旅行が社会的ステータスとしてもてはやされていたが、いまでは中国の消費者はより実用的で堅実な生活様式を求める傾向がある。中国国内の製品や文化アイデンティティーがより歓迎され、旅行目的地でも中国国内のスポットの人気が高まっている。
日中ビザ免除政策のゆくえ
日本メディアの報道によると、中国への短期滞在ビザ免除政策の復活を求める日本の要求に対して、中国は外交・公務パスポートを持つ中国市民へのビザ免除を要求している。「平等待遇」を主張し、日本に譲歩を求めたかたちだ。
一部の日本のネットユーザーは、これが本質的に不合理な要求であると指摘する。ビザ免除により中国人が日本に殺到し、ホテルの価格が高騰することへの懸念は大きい。ただし、中国が求めているのは「外交/公務パスポート」のみのビザ免除である点を中国メディアは強調している。
中国は過去1年間で旅行およびビジネス面での他国との関係の強化を試み、11か国に対してビザを免除している。2023年7月には、シンガポールとブルネイのパスポート保持者に対してビザ免除政策を復活し、その後ヨーロッパ各国にも対象を広げたが、日本については再開が見送られた。
なお、日本は、英国や韓国など約60か国の外交・公務パスポート保持者に対してビザ免除政策を実施している。