查看原文
其他

【原発事故】「福島をめぐる疑問」に日本は答えるべき

2016-06-01 人民網日本語版 人民网日文版



車を走らせ、福島第一原子力発電所から約40キロ離れた飯館村を訪れると、そこには映画に出て来るような「ゴーストタウン」の風景が広がっていた。人の姿はほとんど見えず、雑草が生え放題になり、汚水だらけで、カラスの声がむなしく響き渡っていた。

 

プロカメラマン飛田晋秀さんはこれまでに30回以上被災地を訪問し、その様子をカメラで記録している。被災地にカメラを向ける際、飛田さんの目には涙があふれ、心には憤りの思いがふつふつと沸いてくるという。

 

飛田さんに憤りを感じさせているのは、福島第一原子力発電所事故発生後、甲状腺ガンを患う被災者が増え、苦しみと孤独に耐えているにもかかわらず、助けが全くないからだ。2015年年末、岡山大学の津田敏秀教授らの研究グループが、国際環境疫学会が発行する医学雑誌「Epidemiology」で発表した論文によると、原発事故による放射性物質の大量放出の影響で、甲状腺ガンの発症率が、福島市と郡山市の間で全国平均の約50倍、福島原発周辺地域で約30倍、少ない地域でも20倍となった。そして、「統計学的な誤差の範囲もはるかに超えており、今後さらに多発することは避けられない」と指摘している。ところが、同論文発表後も、今に至るまで日本政府や福島県は同問題を重視しておらず、それどころか反論や批判さえ起きている。

 

今年1月、「国際環境疫学会」は、福島県の調査で、事故当時18歳以下の子供の160人超に甲状腺ガン患者(疑い例を含む)が確認されていることについて、日本政府と福島県に詳しい調査や事故とがんの関係についての解明を求める書簡を送り、現状を「憂慮している」と述べた。それでも、調査要請に対する積極的な回答もないまま、このニュースは消え去った。

 

事故から5年が経ち、その「後遺症」は、子供の甲状腺ガン多発だけではなくなっている。人々が最も怒りを覚え、懸念を示しているのは、異常なほど楽観視している日本政府の姿勢や真相が消されている事実だ。

 

事故の処理には何年かかるのか?生態環境にはどれほどの影響があるのか?除染はどれほどすすんでいるのか?廃棄物は最終的にどのように処理するのか?事故発生後、福島をめぐる疑問は途切れることがなく、その答えを得るどころか、疑問が増える一方になっている。日本は、意識的にか無意識のうちか、事実を過小評価し、その感覚が関連の国際機関や専門家にまで伝染している。今回の事故は、人類史上2度しか起きていない、国際原子力事故評価尺度(INES)が評価する最も深刻な「レベル7」に当たる事故で、各国の専門家はその影響をほとんど知らないのが現状だ。

 

日本政府は意識的に事故の影響を過小評価しているのは、各種政治的圧力や日本に対するイメージが崩れるのを避けるためだ。特に、海外で、2020年の東京五輪開催は安全なのかという声が上がらないようにしている。確かに、国のイメージや食品の安全、観光への影響、原子力をめぐる政策、医療保険の負担、公害訴訟など、日本政府は多くの懸念材料を抱えている。しかし、どれも、事実を隠す理由には決してならない。

 

国際的にも、道義や責任感に欠けている。日本政府は20138月、福島第一原子力発電所から、1日当たり少なくとも300トンの汚染した地下水が海に流れ込んでおり、この状況は事故後ずっと続いていた可能性があると認めた。ところが、同年9月、安倍晋三首相は、IOC総会でなされた東京招致委員会のプレゼンテーションの中で、「状況はコントロールされている。まったく問題ない」とPRした。実際には、東京五輪開催決定後も、放射性物質汚染水漏れのニュースが何度も流れた。福島県の地方議会は、安倍首相の発言に書簡で抗議し、「事実に沿わず、重大問題」と指摘した。

 

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)114月、放射性セシウムの今後30年の拡散状況をコンピューターでシュミレーションし、海流に乗って5年後には北米にたどり着き、10年後にはアジア東部に戻り、30年後には太平洋全体に拡散するため、その影響に長期的に注目しなければならないと指摘した。日本福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授も15年、事故で海洋に放出された放射性セシウム800テラベクレル(テラは1兆)が北米大陸の西海岸に到達するとの予測を示した。事故で放出した主な放射性物質はセシウム137で、青山教授は、「現在、唯一できることは環境中の放射性物質の濃度をモニタリングし、魚類の体内に蓄積する危険に関して、警告を発すること」としている。

 

日本は現実を直視しなければならない。米ウッズホール海洋研究所のケンベッセラー博士は、11年から福島第一原子力発電所事故の海洋に対する影響を研究して、同研究所内に、海洋環境放射能センターを設立した。ベッセラー博士は取材に対して、「現時点で(日本と)外部との意思の疎通は非常に少ない」と指摘し、「事故の海洋に対する影響は膨大。漏れた放射性物質の80%は海洋に放出された」との見方を語っている。

 

多くの国の専門家が、「日本は事故の環境や健康、食品の安全などの分野に与える長期的な影響を過小評価している」と指摘している。ドイツハノーファー大学放射生態放射線防護研究所のゲオルグシュタインハウアー教授は取材に対して、「事故後、日本の一部の汚染地域は肉類の監視をリアルタイムで行われておらず、基準を超える放射性物質に汚染された牛肉が市場に流れていることを分析は示している」と指摘している。

 

現在、食品問題は、日本自身の首をしめているだけでなく、周辺地域にも波及している。429日、香港食物環境衛生署食物安全センターは、日本産干し椎茸の4 つのサンプルから微量の放射能が検出されたと発表した。また、511日、東京から北に約100キロ離れた栃木県の小学校の給食に使われたタケノコから、基準値の2倍以上のセシウムが検出された。

 

ある専門家は、「日本の当局は、事故の処理や後始末を、盲目的に楽観視し、事故の影響に十分の力を注いでいない」と指摘している。チェルノブイリ子ども基金の顧問である小児科医黒部信一氏は、チェルノブイリ原子力発電所事故の被害者療養施設を訪問しており、「チェルノブイリの事故と比べると、福島の事故後、立ちあげられている関連の療養機関はあまりに少ない。もし、日本政府が今と同じ方法で処理するなら、30年後、事故がもたらす健康危害はチェルノブイリ事故より大きくなる可能性がある」と警告している。

 

これほど重大で深い影響を及ぼす原子力発電所の事故を前に、影響を受けている国民や国際社会に対して、日本は問題から目をそらし、過小評価するような態度を取っては決してならない。政治やその他の目的のために、災難を無視することは、災難そのものより恐ろしい。「福島をめぐる疑問」に、日本は世界に向けて答えなければならない。



おススメ

  

【調査】福島原発事故から5年 「消し去られた」真相

【匠の精神】86歳「飯炊き仙人」 北京四合院に移り住み、銀シャリ極意披露

人口高齢化がもたらす日本の深刻な地方凋落現象



本微信号内容均为人民网日文版独家稿件,转载请标注出处。





您可能也对以下帖子感兴趣

文章有问题?点此查看未经处理的缓存