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上海メトロが新規定、列車に乗らない駅利用者に料金払い戻し措置も

耕雲 邦人NAVI 2024-05-21
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円安で日本の物価が安いと言われても、やはり公共交通料金となると中国のほうがお得感がある。東京メトロの乗車料金が大阪メトロより手頃な料金だといっても、中国国内で高め水準の上海メトロに安さで及ばない。


筆者が今回注目したのは上海メトロがこのほど調整を行った乗車料金に関する規定だ。改札口に入場したのと同じ駅で出場する場合、入場から10分以内なら駅窓口で料金の払い戻し手続きが行えるという。


◇JRでおなじみの“入場券”

日本の鉄道駅には“入場券”というものがある。駅での見送りや出迎えの際に利用できるもので、JRは駅構内(改札口内)に入る利用者に対して、列車に乗る必要がなくても入場券を購入するように求めている。


一方、東京メトロ等の地下鉄となると入場券の制度が定められていない。そのため入場券の代わりに最低運賃に相当する金額のきっぷを購入するのが通例だ。改札口内に入場する場合は自動改札機を、出場する場合は有人改札をそれぞれ利用することになる。「スイカ」等のカードを使うと(出場の際)改札機が閉じられてしまうので注意が必要だ。


図:Bing AIで作成


◇上海メトロの新規定


さて、このほど上海メトロが料金徴収ルールを変更したことがネットで報じられていた。新たな「乗車券の取り扱い手順(票务处理说明)」にもとづくと、利用者が改札口を通って駅のホームに入ったとしても、列車に乗らなければ入場から10分以内という条件のもと窓口で料金の払い戻し申請ができるというのだ。


払い戻しされるのは初乗り料金に相当する3元(約60円)に過ぎない。それでも改札口を通ったところで突如列車への乗車を取りやめる必要に直面した場合には重宝する。あるいは“緊急事態”でトイレに駆け込みたいというケースもあるかも知れない。上海メトロ各駅のトイレは改札口の外に設置されている場合もあれば内側の場合もある。



上海地铁官网から https://service.shmetro.com/pwclsm/index.htm


◇上海で“不正乗車”は減った!?


ところで、近年になって上海メトロを利用する乗客のマナーが向上したと感じる人も多いのではないだろうか。列の割り込みをする人も減り、満員の通勤列車でパオズ(包子)にかぶりついている乗客を目にすることもなくなった。あくまで後付で設定されたルールに遵守しているに過ぎないのかも知れないが、それでも不正乗車がかなり減っているのではないかというのが肌感覚だ。


無賃乗車を中国語で「蹭车(cèng chē )」と言う。10年ぐらい前に遡ると、この「蹭车」行為が後を絶たず社会問題になっていたと記憶する。改札口の柵の下をくぐり抜ける人、あるいは柵を飛び越える人、2人一緒に強行突破を試みる人等、あらゆる術を駆使して蹭车」に挑む乗客を目の当たりにしたものだ。



◇キセル乗車に“5倍返し”!?


むろん、これらはいずれも不正乗車だ。“キセル”も含め、一度、これらの行為が発覚したときの処置が手厳しいことを覚悟する必要がある。「上海鉄道交通管理条例」第30条では、有効なきっぷを所持せずに改札口を通過する等の不正乗車を行った場合に徴収する追加料金について定められている。


どのくらいの追加料金になるかというと、ざっと“5倍返し”というのが目安だ。対象となる鉄道ネットワークにおける片道運賃の最高額を基準として5倍の額が徴収されると見られ、これが蹭车」行為の抑止力となっていると想像できる。


図:Photo-acから


◇“無賃乗車”ができる人たち


一方、こうした罰則の存在を気にすることなく、堂々と無料でメトロを利用できる人たちもいる。その典型的な例は一定の条件を満たした子どもだが、上海の鉄道輸送ではその基準を年齢ではなく身長で定めている。ボーダーラインは1メートル30センチ。身長がこの規定以下である子どもの場合、2人までなら無料で同伴が可能だという。(ちなみに大人の同伴者がいない未就学児は1人で乗車することができない。)


また、子どもや障がい者以外に無料乗車の対象となっているのが、中国人民解放軍や中国人民武装警察、消防救助隊員などだ。こんなところにも日本各都市のメトロとは異なる風景が見えてくる。(耕雲)


<出所>






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