中国の伝統祝日【中元节】

兰庭Channel 兰庭Channel 2021-09-15

　旧暦7月15日（2021年は8月22日）は中国の伝統的な祝日“中元節”です。日本でいう“お盆”にあたり、「鬼節（死者の日）」とも呼ばれています。「霊魂を鎮める日」として、主に先祖などの霊を祀る行事が行われます。中国では、中元節の日は、ご先祖様だけでなく地獄の扉が開き、成仏を祈られなかった霊や悪霊たちもあの世から戻ってくるとされています。

一般的な中元節の過ごし方

　中元節の日は先祖の霊が帰ってきて、家族との宴を楽しむ日とされているため、仏壇の前のテーブルに、米・肉・魚・卵・スープ・野菜・フルーツ等のたくさんのお供え物を並べ、仏壇にお線香をあげて、供養します。日が暮れた後、爆竹や紙銭（紙で作られた天国で使えると言われるお金）や線香を持ち、静かな川のほとりや池の周りの平地を探し、石灰で円を描き、聖域とします。そして、その中に水飯をかけ、紙銭を燃やし、爆竹を鳴らし、先祖があの世に無事に戻るのを見送ります。現在では、政府は迷信的な意味合いを避け、文明的な弔いスタイルを推奨しているため、最近では寺院に行って礼拝したり、家で先祖の遺影や位牌を祀り、ご馳走をお供えし、線香を焚き供養するのが一般的な過ごし方になっています。またこの日は、引っ越しや結婚、入籍、旅行など大きなイベントやおめでたい行事はタブーとされています。

中元節の伝説

　安居の最中、目連(原始仏教教団の長老の一人で、釈迦十大弟子の一人)が、亡くなった母親の姿を探すと、自分の母親の劉氏が餓鬼道に堕ち、飢えに耐えているのを目の当たりにした。哀れに思い、目連が釈尊に助けを求めたところ、「旧暦七月十五日に、全ての修行僧に瓜の実と百味の食事を施せば良い」という教えの盂蘭盆（うらぼん）の経を得た。その教えの通り目連が実行すると、母親は餓鬼の境遇から脱することができた。

中国各地の中元節の風習

【四川省】

　老人は紙銭を畳んで、封筒に入れる。封筒には受取人（亡くなった家族）の名前や呼称、また受け取る封数、時間を記入します。こうすることで、亡くなった家族が確実に紙銭を受け取り、“野銭”になって他の霊に持っていかれないようにします。また他の幽霊のために少し紙銭を燃やし、亡くなった家族へのお金を奪われないようにします。

　成都では、人々は紙で入れ物を作り、紙銭と果物を供えます。それを持ち、「家族、友人、隣近所、以前の住人、まだ帰るのが惜しい魂、孤独な霊よ、花のお皿にお乗りください。冥途にお送りします。」とつぶやきながら、部屋の中を歩き回ります。最後は入れ物を外に持ち出し、燃やす風習があります。

【江蘇省の地域の風習】
　中元節の日には編食（小麦粉と砂糖で作った薄い平らな形の食べ物)を食べる人が多いようです。浙江省台州市の天台では、特に中元節に“餃子餅”という春巻きのような食べ物を、伝統的な南京の家庭では、新鮮なナスを千切りにして、小麦粉をまぶし、油で揚げてつくる“茄餅”を作って食べるのが一般的です。

【山東省】
　中元節の儀式として行われる山東省徳州市の中原の灯篭流しは、非常に見ごたえがあります。人々はウリ科の果物の皮やお椀、また紙などで灯篭や大きな船を作り、中元節の夜にそれらを川に流します。水面に浮かぶ灯篭の灯りは美しく、星空のようにきらきら輝きます。

【先祖を祀る】
　午後に墓参りをするのが一般的。お墓に竹で作られたお盆や紙で作られた衣服や帽子と精進料理を供えます。中元節は、包子（肉や野菜の具を包んだ饅頭）や饅頭（蒸しパン）、水餃子を食べるのが一般的です。

盂蘭盆会（うらぼんえ）

　盂蘭盆会とは旧暦7月15日を中心に7月13日から16日の4日間に行われる仏教行事のこと。この時期になると、天津市の主流寺院“大悲禅院”の福観音寺でも“盂蘭盆節法会”が行われ、寺院住職が僧侶らを率いて境内で読経します。そして複数の生物(魚、亀など)を放生（ほうじょう）します。
　この日に死んだ家族や生きている親の先祖に祈りを捧げると、罪を減らすことができるため、親のために良いと言われています。

今年の盂蘭盆会は週末にあたります。興味のある人はぜひ“大悲禅院”で中国のお盆“中元節”文化の雰囲気をぜひご体験ください。

●　END　●