我的老板是中国人:当日本人在中国企业工作,他们的真心话是?
被中国企业雇佣的日本员工是在怎样的环境下,抱着怎样的想法工作的呢?笔者进行了一些采访。
中国企業に雇用される日本人社員は、どんな環境で、またどんな思いで働いているのだろうか。いくつかのケースを取材した。
日本员工业务集中!中国名企的职场现状
日本人社員に業務が集中!誰もが知る中国有名企業の職場
“从今以后就是中国的时代了”——因为高中时代恩师的一句话,A飞到了北京。在京2年间他学会了中文,回国后进入中国知名企业X社担任日本法人。X社,就是无人不知无人不晓的名企。
「これからは中国の時代だ」——高校時代の恩師にそう言われたことをきっかけに、Aさんは北京に飛んだ。2年間の滞在で中国語を身に付けたAさんは、帰国と同時に大手中国企業のX社の日本法人に就職した。X社は、聞けば誰でも知っている有名企業である。
A的入职动机是“想要活用中文技能来赚钱”。但是,这家中国企业给出的工资却低于市价,不过一开始他并没有在意这方面,而是想先试一试。
Aさんの入社の動機は「中国語のスキルを生かして稼ぎたい」というものだった。しかし、この中国企業の提示する賃金は相場よりも低い。だが、考えあって入社時はそこに目をつぶり、まずは働いてみることにした。
之后他被分配到客服中心,几周后,习惯了工作的他也看清了一些公司内部事情。真实的公司样貌是这样的:
配属されたのはコールセンターだった。数週間が過ぎ、仕事にも慣れてくるころには、社内事情も見えてきた。その実態は次のようなものだった。
A说:“这家公司给人的感觉是很迁就中国人。比如说,客服中心在电话比较多的时候中国员工也不会去接。接电话的大部分都是日本员工,有时更会接到投诉电话。本来应该率先出来接电话的中国员工却说着‘管理工作太忙了’而不去接”。
「この会社は、中国人に甘い対応をするんだな、という印象を持ちました。例えば、コールセンターでは電話の着信量が多いときでも、中国人スタッフは対応しません。電話を受けるのはほとんど日本人スタッフだけで、時には苦情処理にも当たります。本来ならば率先して電話に出なければならない中国人スタッフは『マネジメント業務が忙しいから』と電話に出ないのです」(Aさん)
A坦言,管理着客服中心十多人的领导是位中国人,手下有一半日本员工一半中国员工。但是,真正努力工作的只有日本员工,中国人更会“偷懒”。他说,中国人认为“偷着懒还有工资拿就是最大的赢家”。
十数人規模のコールセンターをリーダー役として取りまとめるのは中国人で、その下には日本人スタッフと中国人スタッフが約半数ずつ勤務する。だが、真面目に頑張るのは日本人スタッフで、中国人は「さぼりがち」だとAさんは率直に語る。Aさんによれば、中国人には「さぼりながら給料をもらうのが得」だと考える傾向があるという。
入职一年后,A离开了这家公司。虽然当时并不在意低价的工资,但后来也丝毫没有涨薪的意思。
入社して1年、Aさんはこの職場を去った。当初は賃金の安さに目をつぶったものの、まったく昇給の気配がないからだ。
新入职员工工资较低的确是中国主流,但上海等地有很多根据“实力水平”涨薪的公司,而且中国涨薪的幅度要比日本高。但是X社并没有和A交流过工资问题。
入社当初は賃金を低く抑えるのが中国流だが、上海などには「実力発揮」とともに昇給のチャンスが広がる企業もある。しかも中国での賃金の伸びは、日本以上に高い。だがX社は、Aさんの賃金交渉に応じなかった。
后来调查了一下这家公司是不是经营状快不好,才发现X社已经连续6期营业赤字了。中国企业可以说“有知名度不代表着放心”。能够长期安定的工作下去的公司是有限的。
経営状態が悪いのではないか――調べてみると、X社は6期連続で赤字を出していた。「知名度があるから安心」とは必ずしも言えないのが中国企業でもある。長期的かつ安定的に働き続けられる企業は限定的だ。
职场松懈?“宽松”的中国企业
職場はホッとする!?どこか“ゆるい”中国企業
近年来,中国国企正飞速拓展海外据点,开设在日本的分公司也越来越多。就职于国企Y社的B先生就兴奋称“这里就是【日本中的中国】”。
近年は、中国の国営企業も猛スピードで海外に拠点を広げており、日本でもその子会社が数を増やしている。国営企業Y社で働いているBさんは「まさにここは、“日本の中の中国”です」と興奮気味に話す。
大学第二外语学了中文的B就职的公司位于东京,是一个办公和宿舍兼备的“独栋高级公寓”,而且还自己改建过。不选择租房办公而是直接买下改建正符合“中国的做法”。
大学の第二外国語で中国語を身に付けたBさんが東京で通うその会社は、職場が宿舎を兼ねた「一棟の高級マンション」だ。しかも、建物には自己流の増改築の跡がある。賃貸ビルにテナント入居するのではなく、一棟買いして使い勝手のいいように建て増しするのは、まさに“中国的手法”だ。
从中国派遣过来的员工在这栋建筑中工作和生活。B说,内部也有员工食堂,不仅是员工,员工家属也可以来吃饭。作为日本人被雇佣的B也附带了一日两餐,菜品却不像“附带”那样随意。
中国から駐在員として派遣された中国人社員は、この建物の中で、職住一体化した生活を送る。Bさんによれば、内部には社員食堂もあり、従業員のみならず、その家族もここで食事を済ませるらしい。日本人従業員として雇用されたBさんも「まかない付き」で1日2食をここでとるが、そのメニューは「まかない」という言葉から連想されるような粗末さではないという。
中国还有一个风潮,就是中国企业向外国扩展时,一定会带一位中国的厨师,食堂菜品已经到了“还有这种菜”的豪华竞争程度。B也过着“每天都在期待食堂会有什么菜”的生活。
中国企業の対外進出には、必ず母国から調理師を派遣するのも中国流。昨今は、赴任先の食堂での食事の豪華さを「これでもか」と競い合うのが潮流だ。Bさんもまた「毎日のメニューが待ち遠しくてたまらない」そうだ。
当寻问到B如今大多数人都是中国人的职场环境时,回答让人意外。
圧倒的多数を中国人が占めるBさんの職場環境について尋ねると、意外な反応が返ってきた。
“现在的公司环境很松懈。中国企业总让人觉得很‘宽松’,比起总是处在紧张状态的日本企业,这里工作起来更轻松。”
「今の職場はホッとするところがあります。中国企業はどこか“ゆるい”ところがあり、常に緊張状態に置かれる日本企業よりも働きやすいんです」
因为是正式员工,工资上给的很到位,各种保险也很齐全。虽然节假随中国习俗没有“盂兰盆节”,但整体并不受影响。
正社員採用で給与面でも大満足、各種保険の取り扱いもある。中国の暦に従うので「盆休み」はないが、これといったトラブルもない。
作为销售职位,B的工作是走访坐落于首都圈的日本企业。但最重要的工作他却做得不顺,很难发掘客户,虽然如此工资却还不错。
Bさんの仕事は、首都圏に散らばる日本企業を訪問する営業職である。だが、肝心な仕事があまりうまく行っていない。なかなかクライアントが見つからないからだ。それでもなぜか給料はいい。
“可能因为是国企,所以公司没有太大数字的压力。说实话,我自己也经常觉得这样真的可以吗?”。
「社内で数字のプレッシャーがまったくないのは、国営という体質だからでしょうか。正直、こんなにもらっていいの?という気持ちになります」
因为是国企?对公司组织的疑问
国営企業だから?会社としての組織に疑問も
另一方面,最近B也对中国企业特有的“宽松感”抱有疑问。
一方、Bさんは最近、中国企業特有の“ゆるさ”に疑問を感じるようになった。
“作为公司的组织建设基本没做,也几乎没有传达过公司的方向和营业目标,也不怎么开会——这真的是公司组织吗?”
「会社としての組織づくりがほとんどできていない、会社の方向性や営業目標がほとんど伝わってこない、ろくに会議も開かれない——これで会社組織だといえるのでしょうか」
宽松的公司环境不仅出现在国营企业之中。中国的企业都有这种感觉。在一家上海资本公司工作的中国人说,其理由之一是“如果有明确的目标和目的的话就必须绞尽脑汁去做”。或者说,强调“个人主义”的中国人并不擅长团队协作。“不擅长团体行动”也是中国企业的弱点。
ゆるい社内環境というのは、この国営企業に限ったことではない。中国の企業はどこでもこんな感じである。その理由のひとつは「ルールや目標を明確化すれば、自分の首を絞めることにもなりかねない」(上海資本の企業で働く中国人)からだ。ましてや、「個人主義」といわれる中国人にとってチームプレーは得意ではない。「組織だった行動が苦手」というのは中国企業の弱点でもある。
再加上C的案例,我们就能更清晰地描绘出中国企业的样貌。因为酒店收购,C成为中国经营者手下的酒店工作人员。虽然入职的时候公司称职位是“本该有”的,但其实有名无实,经营详情相关的内容全都没有告知C。对此C说“这就是中国企业特有的黑箱化”。
Cさんの事例を加えれば、さらに中国企業の傾向が浮き彫りになるだろう。Cさんはホテルの買収をきっかけに、中国人経営者の下で働くことになったベテランのホテルマンである。もともと入社の際には「しかるべきポジション」が約束されていたが、それは名ばかりのもので、Cさんのもとには経営に関わる情報が一切入ってこなかった。Cさんはそれを「中国企業特有のブラックボックス化」だと語っている。
中国经营者不会轻易信任别人,因此,经营实权只握在极少数人手中。日本人更是被拒之门外。想要打破“厚厚的墙壁”,实现彼此的双赢,只能靠个人的努力。
中国人経営者は簡単には他人を信用しない。そのため、経営の実権はごく少数のみによって握られる。ましてや日本人など蚊帳の外に置かれるのが関の山だ。その“分厚い壁”を切り崩し、互いにウィンウィンでやっていけるかは、個々人の努力でしかない。
可见,日本人的经营权不知不觉交到了中国人手中的案例十分多见。
先述の通り、日本人から中国人へと、いつの間にか経営者が交代するケースも散見される。
另一方面,也有“歪打正着”的。某企业员工称“一直以来最为重视的‘危机管理体制’愈发薄弱,相对地大家都开始现场‘当机立断’了”。
その一方で“けがの功名”もある。ある企業の社員は「これまで最も重視してきた“危機管理体制”が薄れつつありますが、その代わりに現場“即決即断”で動くようになりました」とこれを歓迎している。
适应日本之后中国经营者的实力主义
帰化した中国人経営者のすがすがしい実力主義
最后再向大家介绍一个案例。关西出身的D于东京一家翻译公司实现再就业。“工作优先”的她所属的这家公司,是一个由中国人经营的“日本化”之后的中小企业。
最後にこんな事例を紹介したい。関西出身のDさんが、東京で再就職した翻訳会社のケースである。「とにかく仕事を」と急いでいた彼女が籍を置いたのは、日本に帰化した中国人が経営する中小企業だった。
因为之前公司的销售职位,D对“麻烦的中国经营者”感到十分无奈,但她说,这些在日本很长时间的经营者已经熟知了日本和中国的商业习惯,可以说是“老手经营者”。随着业务的进行,日本人和中国人的思考方式会有分歧,但不会有“中日的对立”。
前職の営業職で“うさんくさい中国人経営者”に辟易したDさんにとって、在日歴の長いこの経営者は、日本と中国の両方の商習慣を熟知した“ベテラン経営者”にも等しかった。業務の進行をめぐっては、日本人と中国人の考え方が割れることが常だが、こうした“日中の対立”もない。
比起对立,她更感觉像这里是一个“完美去除了‘日本企业的坏习惯’的职场”。
それどころか、彼女はむしろ「いい意味で“日本企業の悪癖”が排除された職場」だと感じている。
“在这里,有能力的日本人女性正在兴致勃勃地工作着。也能是因为没有日本的年功序列制度吧,也没有前辈后辈的意识,是一个能够充分发挥实力的职场环境。”
「ここでは力のある日本人女性が生き生きと仕事をしています。年功序列がないからでしょうか。先輩後輩の意識も低く、ストレートに実力を発揮できる環境があります」
不轻视女性的力量,反而予以足够尊重的公司风气让D十分满足。
女性の持てる力を軽視せず、むしろ尊重してくれる社風にDさんは満足している。
虽然很奇怪但却让人有种在家的安心感,有战略但也很放松。可以说,中国企业有着日本企业所缺失的东西。日本不断增加的中国企业,究竟能否成为日本人的一个新选择呢?
どこか怪しげだが妙にアットホーム、戦略的ではあるが脇がゆるい――。日本企業にないものを持っているのが中国企業だといってもいいだろう。日本でも増えつつある中国企業だが、果たして日本人にとって新たな選択肢となるだろうか。
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